5. Web3テクノロジーはサプライチェーンマネジメントを強化する
Shoptalk USとShoptalk Europeの両方で、Coresight ResearchのCEO兼創設者であるDeborah Weinswig氏が、Web3(Web 3またはWeb 3.0と呼ばれることもある)とサプライチェーンに関する講演を行いました。Web3技術を活用したインテリジェントでコネクテッドなサプライチェーンについて説明するWeinswig氏
出典:Shoptalk Europe
Coresight Researchは2019年に、原材料の調達から製造、倉庫、ラストワンマイルに至るまで、あらゆる段階でテクノロジーによって強化された現代のサプライチェーンをイメージしてきました。その中にはAIやWeb3の影響なども含まれ、グローバルサプライチェーンについて詳しく解説してきています。
Web3とは、インターネットの第3のバージョンのことで、読むだけのWeb1.0から読み書きのできるWeb2.0、そして自動での読み書きへと進化したものを指します。なお、Web3の特徴は、コンテンツとデータの分散型所有にあります。
消費者需要の変動や サステナビリティへの要求など、サプライチェーンにおける現在の課題は、トレーサビリティ、可視性、品質、コンプライアンスといったグローバルな問題や、融通の利かない製造、複雑な物流ネットワークなど、サプライチェーンの制約をさらに悪化させています。
Weinswig氏は、Web3がこれらの課題にどのように対処し、インテリジェントで接続されたサプライチェーンの構築による利点を促進することができるかを解説しました。
その利点として、製品設計のスピードアップ、正確な需要予測、ラストワンマイルのスピードアップなどを挙げ、3DLOOK、Digital Wave Technology、Dropit、IBM、Impact Analytics、Lectra、Nfinite、Prevedere、SoftWear Automationなど、小売企業のサプライチェーン管理強化を支援する主要なイノベーターについて取り上げました。
また、Weinswig氏は、Web3技術を利用したインテリジェントなコネクテッドサプライチェーンのためのCoresight Researchの新しいフレームワークを紹介しました。
分散型台帳は、セキュリティを確保したデータ共有に加え、トレーサビリティ、透明性、トラッキングの実現や、スマートコントラクトの自動化、アクションや支払いの自動化、事務処理コストや無駄な労働の削減につなげることが可能であることを説明しました。
出典:Coresight Research
WHAT WE THINK
Shoptalk USとShoptalk Europeでのディスカッションでは、新しいテクノロジー導入の成功例や展開例が数多く紹介されました。AI/MLは、2016年以降主流になりつつあり、Coresight Researchではこうした技術を、小売企業がコンピューティング能力、自動化、予測を活用して業務や顧客との関係を強化するための強力なツールであると捉えています。
また、動画はコンバージョンを高める強力な手段であり、小売企業がZ世代などデジタルに精通した若い世代とつながるためになくてはならないものとなっています。
また、Eコマースに対する競争優位要素となる従業員のエンパワーメントに注力し、RFIDのような一見成熟した技術を再発見し、従業員を助けるために新たな応用を試みていることも高く評価されています。
ブランドや小売企業にとっての意味合い
・生成AIはまだ初期段階ですが、ブランドや小売企業は、コミュニケーション、パーソナライゼーション、効率化などにおけるメリットを得るために、この技術の進展を見守り、取り入れる必要があるでしょう。・ブランドや小売企業は現在使用されているAI/MLテクノロジーから、予測、データの関係性の発見、コミュニケーションやパーソナライゼーションの最適化など、ビジネス上の利益を引き出し続けることができるでしょう。
・小売企業は、Web3テクノロジーを活用して、インテリジェントでコネクテッドなサプライチェーン、コスト削減からサステナビリティの向上に至るまで、さまざまな利点を引き出すことに注力する必要があるでしょう。
テクノロジー企業にとっての意味合い
・生成AIに関する最近の話題性と投資の高まりを受け、テクノロジー企業には、小売企業やブランド向けにカスタマイズされた生成AIソリューションを開発する大きなビジネスチャンスがあるでしょう。・生成AIには、ハードウェアインフラ(クラウドコンピューティングなど)、AIソフトウェアプラットフォーム、それらを使用するアプリケーションのプロバイダーや、新しい技術を既存のプラットフォームと統合する、などのビジネスチャンスがあります。
※この記事は、2023年2月にリリースされたRxR Innovation Initiativeからの転載です。