宇宙

2023.06.06 14:00

今後1000年間、地球への小惑星衝突による人類絶滅はない

そこで研究チームは範囲を少し広げ、小惑星と地球が最も接近する遭遇に関するデータに注目した。最小交差距離と呼ばれるそのデータは、一定時間以上地球の近傍に存在する小惑星を特定している。

長期間にわたる「最接近遭遇」の確率を推定する新たな手法を得て、著者らは「惑星キラー」小惑星を、衝突する可能性に応じてランク付けした。

どこかの時点で危険をもたらす可能性のある大型小惑星が150個見つかり、4個は今後1000年間地球近傍に存在する可能性が高い。

その中で、最接近遭遇の推定確率が最も高い小惑星が7482(1994 PC1)であるとチームは推定した。この直径約1kmの小惑星は、軌道が地球の軌道を横切るアポロ型小惑星の1つだ。
 
潜在的に危険な小惑星、(7482)1994 PC1。2022年1月17日(GIANLUCA MASI/VIRTUAL TELESCOPE PROJECT)潜在的に危険な小惑星、(7482)1994 PC1。2022年1月17日(GIANLUCA MASI/VIRTUAL TELESCOPE PROJECT)

この小惑星はこのミレニアム(千年紀)の約98%を地球の近くで過ごし、これを著者らは「異例である」と記載している。最接近するのは2525年だが、それほど先の未来に関する誤差は非常に大きく、果たして地球に衝突するのか、安全に通りすぎるのかを予測することは不可能だ。事実、小惑星が月の軌道の内側を通過する確率は、わずか0.00151%しかない。良い知らせは、これが起こりうる最大のリスクであるということだ。

そういうわけで、おそらく今後1000年間は安全だ。

小惑星1994 PCが天文学者の間で知られているだけでなく、一般にも馴染みがあるかもしれないのは、2022年1月18日、地球を安全に追い越し、その場面をバーチャル望遠鏡プロジェクトが撮影したからだ。

小惑星314082 Dryope(2005 CZ36)(これもアポロ型小惑星)および143651(2003 QO104)(主に火星と木星の軌道の間にある小惑星帯の中で太陽を周回するアモール型小惑星)も、NASAの「監視対象」リストに載っている。

いずれにせよ、この長期危険度ランキングは惑星防衛共同体に提供される可能性があるため、より詳細な観測がなされ、将来探査ミッションが準備されることもあるかもしれないと著者らは述べている。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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