教育

2023.06.01

9割の親が「教師不足が深刻」 メタバースが解決策となるか

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文科省の「子供の学習費調査」(令和3年度)によると、子供1人あたりの自宅学習や学習塾・家庭教師などにかかる補助学習費は年間、公立小学校で12万円、私立小学校で37.8万円、公立中学校で30.3万円、私立小学校で26.2万円。それらの教育費が家計に与える影響は、決して少なくない。そうした中、学校教育以外の教育について親たちはどのように捉えているのだろうか。

eラーニング関連のサービスを提供するイー・ラーニング研究所は4月5日〜27日、全国の子どもを持つ親 302名を対象に、「学校と家庭での教育のバランスに関する調査」を実施した。

まず、学校教育以外で教育費をかける必要があると思うかを尋ねると、「はい」が約9割(88%)を占める結果に。理由としては、「将来の夢のために必要なスキルを身に着けて欲しいから」が最多で8割超(82.3%)を占めたほか、「学校教育では足りないと思うから」(59%)が続いた。

同社は、「デジタル技術の進化や、生活様式の変化に伴い、IT技術者やYouTuberなど新たな職業へのニーズが高まったことで、多くの親が現状の学校教育の内容にとどまらない、子どもの将来の夢に繋がる学びに費用をかけたいと考えていることが分かる」と解説した。

さらに、学校教育における教師不足の問題について、深刻だと感じるかを質問すると、9割以上(93.7%)が「深刻だと感じる」と回答。うち8割(84.1%)が、「早急な対策が必要」だと考えていることが判明した。

また、新科目の公教育化が開始していることを踏まえ、特に学校で実施してほしい教育はどれかを尋ねたところ、最多が「金融教育」で約8割(82.1%)に上り、次いで「情報リテラシー教育」(66.6%)となった。理由としては、約6割(59.9%)が「家庭で教えられる自信がないから」で最も多く、続けて「児童同士で交流するなどする方が身につくと思うから」(44%)の順に。

教師不足の解決策として期待する取り組みについては、「メタバースなどを活用したオンライン授業の実施」(73.2%)と「タブレットなどデジタル教材の導入」(67.9%)が約7割で上位に並んだほか、「教育カリキュラムの見直し」(53%)が続いた。同社は「この結果から、多くの親が授業や教材のデジタル化によって教師の業務削減に期待していることが伺える」と説明した。

政府は2019年からGIGAスクール構想を掲げ、生徒1人につきパソコンやタブレットなどの情報端末を1台配備し、ICTを駆使して全ての子供たちが「個別最適化された学び」の場を得ることを目標としている。しかし、教育者間でのITリテラシーの差や学習教材・校務のクラウド管理、学校外での端末利用についてなど、課題は山積しており、早期の解決が望まれている。

参考)文部科学省|令和3年度子供の学習費調査
https://www.mext.go.jp/content/20221220-mxt_chousa01-000026656_1a.pdf

プレスリリース

文 = 大柏真佑実

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