また、本書の著者である、東大卒プロ算数講師の小杉拓也氏は次のように言う。「暗算から暗記に導くことで最強の計算法になり、中学受験生にとって大きな武器になる」。
どういうことなのか。以下、同氏にご寄稿をいただいた。
中学受験生に怒涛の勢いで広がっている「おみやげ算」とは?
11×11~19×19の暗算ができる、おみやげ算の計算法を紹介します。
(例)17×13=
1. 17×13の右の「13の一の位の3」をおみやげとして、左の17に渡します。すると、17×13が、(17+3)×(13-3) =20×10(=200)になります。
2. その200に、「17の一の位の7」と「おみやげの3」をかけた21をたした221が答えです。
まとめると、17×13=(17+3)×(13-3)+7×3=200+21=221です。
この2ステップで、例えば、11×12、18×15、16×19などの「十の位が1の2ケタの数どうしのかけ算」は、おみやげ算を使ってすべて計算でき、慣れると暗算もできるようになります。
「おみやげ算で計算できる理由の証明(文字式を使った説明)」については、以前配信した記事『「16×18=288」が爆速で暗算できる驚きの方法』に掲載しています。
また、小学生向けの理由の説明は、『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』の巻末に、長方形の面積図を使った方法を載せているので、興味のある方はご参照ください。
中学受験で「筆算」より「暗算」が有利な理由とは?
1分1秒を争い、1点差で合否が分かれる中学受験において、「計算のスピード」を身につけることが大切です。11×11~19×19は、ふつうは筆算で計算されます。ただし、筆算というのは意外に大変な方法です。まず紙と鉛筆を用意して、式を書いて、計算して、間違ったら消しゴムで消して、…と答えにいたるまでのプロセスが少なくないのです。
一方、おみやげ算は、紙や鉛筆は不要ですし、慣れれば5秒程度で暗算できます。このようにかなり速く計算できることが、中学受験生に本書が支持されている大きな理由のひとつです。