教育

2023.05.27

中国人留学生の学費に頼るのは「危険」 英当局が大学に警告

英マンチェスター大学(Getty Images)

英イングランドの高等教育規制機関・学生局(OfS)は、同国の大学が中国人留学生からの学費収入に過度に頼っていることから、財務の安定が危険にさらされる恐れがあると警告した。

中国人は英大学に通う留学生の中で最大の割合を占めているが、英中両国の間ではここ数カ月間、緊張が高まっている。このためOfSは、留学生が突然途絶え、それに伴って学費収入が減少し、一部の大学の将来が危ぶまれる可能性があると指摘。中国人留学生を多く抱える国内の23の大学に対し、突然の収入減に備えた緊急時対応策を検討するよう要請した。

OfSのスーザン・ラプワース最高経営責任者(CEO)は「留学生はイングランドの高等教育に多大な経済的、文化的、教育的利益をもたらしている」としながらも、「一部の大学が留学生からの学費収入に過度に依存しており、ある一国からの留学生が財務モデルの重要な部分を占めている場合があることに懸念を抱き続けている」と表明。「大学側は、留学生の受け入れが予想を下回った場合にどうするのかを知っておく必要がある」として、複数の大学に対し、こうしたリスクに注意を払い、収入が突然減少した場合に大学を守るための緊急時対応策を準備するよう、文書で要請したことを明らかにした。

英国の大学には約15万人の中国人留学生が在籍。英国と欧州連合(EU)以外の地域出身の学生の4分の1以上を占めており、大学側にとっては学費収入の大きな柱となっている。例えば、中国からの留学生が最も多い大学の1つである英マンチェスター大学では、留学生全体の約半分を中国人留学生が占めている。同大学の学費収入の55%は海外からの留学生によって賄われており、大学の総収入の半分を占めている。

だが、近年は中国からの留学生を受け入れる際の代償、特に政治的干渉のリスクや学問の自由が損なわれることへの懸念が高まりつつある。英庶民院(下院)の報告書は、中国が大学の講義の内容や誰を講演者に招くかといったことに影響を与えることで、英国の学問の自由を損なおうとしていると警告している。
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翻訳・編集=安藤清香

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