教育

2023.05.27 15:00

中国人留学生の学費に頼るのは「危険」 英当局が大学に警告

遠藤宗生
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マンチェスターでは昨年、中国総領事館前の民主派デモに参加していた中国人男性が同館の敷地内に引きずり込まれ殴打される事件が起き、英中の緊張は一層高まった。香港の人権問題や台湾の安全保障問題、新疆ウイグル自治区のウイグル族に対する大量虐殺の告発により、貿易の不均衡やサプライチェーン(供給網)の脆弱(ぜいじゃく)性への懸念が高まる中、英政府は近年、対中関係でより強固な姿勢を示している。リズ・トラス前首相は先週、台湾を訪問した際、中国の脅威に対抗するための「経済的な北大西洋条約機構(NATO)」を呼び掛け、中国政府の怒りを買った。

大学側にとっては、2国間関係の悪化により、中国が英国に送る留学生数を大幅に減らすことが懸念される。これはOfSの報告書でも、次のように強調されている。「留学生の受け入れに過度に依存することは、各種大学にとって重大なリスクであり、留学生から支払われる学費の急激な減少や中止は、持続可能性に関する懸念を引き起こす可能性がある。こうした中止は、例えば地政学的環境の変化などから生じることがあり、その場合、(大学の)収入に即時かつ重大な影響を与える可能性がある」

これに対し、140の大学の統括団体である英大学協会は、限られた資金源に頼ることの危険性を認識しており、学生層の多様化に取り組んでいると説明した。

中国人が英国の大学内の留学生の間で占める割合が最大であることに変わりはないものの、近年増加が最も著しいのはインドからの留学生で、過去10年間で約1万5000人から9万人近くにまで増加している。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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