長期的視野で投資する投資家たち
コロドニーとともに、今年新たにリストに加わった投資家の1人が、欧州とイスラエルで22億ドルの資産を運用するVC(ベンチャーキャピタル)の83 Northの4人のパートナーの1人であるローレル・ボウデン(Laurel Bowden)だ。彼女は、投資先が属するセクターが自分にとってどれだけ興味深く、その基礎となるメカニズムをどれだけ理解できるかによって投資先を決めるという。彼女の目に留まったスタートアップの中には、2022年8月に評価額が130億ドルに達したデータ処理会社Celonisがある。ボウデンは7年前、このドイツのスタートアップの2700万ドルのシリーズAラウンドを共同で主導し、以来すべてのラウンドに参加している。
彼女はまた、2021年にドアダッシュ(DoorDash)に81億ドルで買収されたフィンランドのフードデリバリーWoltの、2019年の3000万ドルのシリーズBラウンドを主導していた。
VC業界では珍しいことに、ボウデンは通常1年に1回しか投資を行わない。83 Northは、他のVCのように年に何度も取引をしようとしないため、長期的なスタンスで投資が行えると彼女は話す。「私たちの最高の投資先企業の中には、エグジットまでに12〜13年をかけた会社もあった」と彼女は話す。
サンフランシスコを拠点とするKindred Venturesの共同創業者のスティーブ・ジャン(Steve Jang)も、同様に長期的スタンスで投資を行っている。彼は、2009年に自身の楽曲共有スタートアップのSoundTracking(後にラプソディが買収)を立ち上げていた時に、その当時はまだプロトタイピング段階だったウーバーにエンジェル投資家として出資した。その10年後に、配車サービスの巨人であるウーバーは時価総額820億ドルでIPOを行った。
幼少期に韓国から米国に移住したジャンは、2020年にUber Eatsに26億5000万ドルで買収されたポストメイツ(Postmates)にも支援を行っている。また、2021年のIPOで時価総額860億ドルを記録したコインベース(Coinbase)にも、2015年に出資していた。「私たちのゴールは、常に非常に初期の段階のスタートアップに投資を行うことだ」と彼は話した。
今年のミダスリストには、黒人が主導するVCとしては史上初の運用資産が10億ドルに達した投資会社のBase10 partnersの共同創業者のAdeyemi Ajaoも選出されている。2021年3月にAjao が出資したブラジルのフィンテック企業ヌーバンク(Nubank)の時価総額は、同年12月のIPOで約500億ドル達し、8000万人の顧客を抱えている。Ajaoは、アドビが200億ドルで買収を目指しているデザインアプリFigmaにも出資している。
(forbes.com 原文)