5年で累計273億円調達。タイミーの成功要因は?

タイミーの新オフィスには同社のキャラクターが鎮座する

現在は執行役員たちと役割分担を明確にし、マネージメントを任せながらミッション・ビジョン・バリュー経営を推進。2023年2月に移転した新しいオフィスでは、社員一人ひとりがバリューを意識できる空間づくりも意識した。

2023年2月に移転した汐留の新オフィス

時価総額1兆円がひとつの目安

タイミーのサービスリリース以降の累計調達額(借入を含む)は、約273億円に及ぶ。小川はこの大きな数字を、“社会的に認められた結果”ととらえ、この5年間は良い経営ができたと評価している。

「まだまだ成長できると思っていますが、上場はそれほど重視していません。ただ、日本を代表する企業となるには時価総額1兆円はひとつの目安だと考えています。日本のIT企業でも超えている会社は少なく、超えているのはLINEなど事業そのものがインフラ化しているケース。インフラになっていくことが大事だと考えると、まだできていないことはたくさんあります」

同社では2021年にミッションを再定義し「『働く』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」を掲げた。

タイミーはすでに、国内47都道府県での事業展開を完了している。今後は案件の密集度の向上や、現在の強みとなっている飲食、物流、小売以外の業種業態への拡大に取り組む。

加えて、「スキル人材の育成」にも注力する。

「僕らの考えるスキル人材というのは、例えば飲食店での接客のレベルが高い人。タイミーの持っているアセットの中で、例えば飲食業であれば接客レベルの高さなど、スキル評価を可視化したり、スキル習得や向上の機会を提供することにも取り組んでいきたい。それができれば非正規雇用者の正規雇用化や、賃金の向上など雇用環境の改善につながるかもしれない。その実現が僕らの使命だと考えています」

将来的には、海外進出も視野に入れている。各国の法的な課題をクリアする必要があり容易ではないが、小川は「タイミーのサービスはUberやAirbnbに近いと感じているので、グローバル化は不可能ではない」という。

「日本での実績を重ねて国内のトップ企業に仲間入りし、早い段階で海外にも挑戦したいです」

>>続く

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「タイミー小川嶺」
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#3 5年で累計273億円調達。タイミーの成功要因は?
 #4 「座学が足りてない」 成功した学生起業家を動かした言葉

文=尾田健太郎 取材・編集=田中友梨 撮影=山田大輔

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