経営・戦略

2023.05.30 11:00

「この10年で最も衝撃を受けた人」 13代中川政七が語る岩本涼の魅力

——中川政七商店とTeaRoomは、ともに古くから受け継がれてきた日本の文化や技術を守る事業をされています。お二人がお話されるなかで、学びや気付きはありましたか。

岩本:中川政七商店さんはモノの価値を信じ、時代に求められる商品を丁寧につくってお客さまに提供されています。その姿勢には学ぶところが多いです。

工芸品を購入される方々は、当社のお茶を買う層とニアリーイコール。ですので、一緒に体験価値をつくりお客さまに提供していくのも面白そうだなと思っています。
 TeaRoom創業者の岩本涼

中川:TeaRoomの事業内容と今回の岩本さんへの社外取締役のご依頼は、直接は関係がないのですが、中川政七商店は元々茶道具の茶巾にも使われる麻織物の問屋として創業し、その後も茶道具全般を主力事業としていたので、とても親和性が高い会社だなと感じています。近年では生活雑貨のイメージが強いと思いますが、2018年には茶道ブランド「茶論(さろん)」を立ち上げ、茶道体験ができる喫茶や現代のライフスタイルに即した茶道具も展開しています。

また、経営者としての思考回路も似ているんです。機能や価格で商売するのではなく、文化や思想、もっと言うとビジョンなど、そういった伝わりにくいものに価値を見出して商売しているところが近しいなと。

岩本:茶道具の事業では、先日さっそくご一緒させていただいて。

中川:そうなんです。岩本さんの視点で見るお茶道具の世界は僕らには新鮮で、担当チームはいろいろアドバイスをいただいているようです。

岩本:スタッフの方々が今まで培ってきた経験と知見も多く、1つ提案をしたら15くらいフィードバックが返ってきて。本当にすばらしい熱量だと思いました。

中川政七商店さんの茶道具事業は今まで、百貨店や茶道具屋さんなどお茶業界内での取引が多かったと思うのですが、これからは海外の日本食レストランなど業界外にいる方々にも広げていけるのではと感じています。

実際に先日、そういった海外のお客さまを中川政七商店の倉庫にお連れしたんですけど、いろいろな茶道具を見せていただき、お客さまも目を輝かせていました。そういうお客さまの姿を見るうちに、スタッフの方も少しずつ目つきや話す言葉が変わってきて。こういう経験がTeaRoomの存在意義をも再認識する機会になるなと思いました。

中川:茶道具業界以外のところから注目してもらえて、スタッフはすごく嬉しいんだろうと思います。これからは今までなかった文脈の要望がくることもあるでしょうし、それにどう応えていくかが課題ですね。

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文=久野照美 取材・編集=田中友梨 撮影=山田大輔 場所提供:三菱地所株式会社

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