オーストラリアの作業療法士であるエマ・クレッグとモリー・ロジャースは、障がいを持つ人々にファッショナブルな服を作るため、2019年にJAM the label(ジャム・ザ・レーベル)を共同設立した。このインクルーシブなブランドは、快適さとアクセシビリティのためにマグネットファスナー、伸縮性のある素材、タグレスデザインを使用し、アダプティブファッションを主流にすることを目指している。
クレッグとロジャースは大学在学中、車椅子に乗った脳性まひのジャックとマディのサポートワーカーをしており、服を着ることは障がい者が直面する最も困難な日常業務のひとつであることを知った。市販の服はサイズが大きくないと着られず、インクルーシブデザインは魅力的でなく、「超医療化」している傾向があるとクレッグは言う。
「私たちはファッションよりも機能を選ぶ必要はなかったのに、なぜジャックとマディはそうしなければならないのですか」
よりスタイリッシュな選択肢を求める声をもとに、JAMは身体、知的、感覚に障がいのある人々に対応した、色鮮やかで若々しいデザインを開発した。JAMはオンライン(自社サイトおよび他の小売プラットフォーム)で販売され、英国、米国、カナダ、シンガポールなどの国々に発送されている。
クレッグとロジャースは、JAMをアダプティブ/インクルーシブファッションのリーダーにすることに注力しており、障害について学ぶため無料の説明会を開催したり、「アクセシブルな写真撮影の方法」などのビデオを制作している。
昨年、JAMはオーストラリア・ファッション・ウィークのアダプティブ・ウェアのショーに参加し、Netflix作品『ハートブレイク・ハイ』の女優クロエ・ヘイデンがランウェイを歩いた。「JAMの旅の予想外の部分は、障害者コミュニティにもっと簡単な方法があること、そして、”いつもそうだから”という理由で物事を受け入れる必要はないと、広めることでした」とロジャーズは述べている。
Jihun Kim, founder of DolbomDream. SUPPLIED PHOTO
韓国では、27歳のキム・ジフンが、ベンチャー企業を通じて他者を力づけることを目指している。彼は、自閉症やADHD、発達障害を持つ人々を支援するテックベースの製品を開発するソーシャルベンチャー企業DolbomDream(ドルボムドリーム)の創設者兼CEOだ。
韓国科学技術院でビジネスと技術管理の学士号と修士号を取得したキムは、2020年にDolbomDreamを設立し、ハグを模倣して不安を軽減するHUGgy Vest(ハギーベスト)という膨張式スマートベストを開発した。心拍数など着用者の健康・生体データを取得し、着用者がストレスや不安を感じている場合に膨らむ仕組みだ。2022年、HUGgy VestはCESのイノベーション・アワード・プロダクト賞を受賞している。