UNDER 30

2023.05.23

アジアで注目。30歳未満の社会起業家たち 

「JAM the labe」のエマ・クレッグとモリー・ロジャース。 WREN STEINER FOR FORBES ASIA

難民支援をテーマにした起業家たち

2021年はロシアのウクライナ戦争がヨーロッパに難民危機をもたらした。その一方でタリバンがアフガニスタンを占領したことで、多くの人が難民として国外に脱出することを余儀なくされてもいた。

この問題に関連して起業をしたのがスミア・トラだ。オックスフォード大学の学生としてのリソースを使い、父親が複雑な難民手続きを行うのを助けた後、他のアフガニスタン人に同じリソースを開放するためにDosti Network(ドスティ・ネットワーク)を設立した。
Summia Tora, founder of Dosti Network. SUPPLIED PHOTOSummia Tora, founder of Dosti Network. SUPPLIED PHOTO

Dosti Networkは、シェルター、移民支援、奨学金などのリソースをリストアップしたり、寄付を集めたりすることで、アフガニスタン人が海外に定住し、国内で安全に暮らせる機会を提供することを目的としている。トラは以前、アフガニスタンとパキスタンで月経の健康や衛生を改善する活動をしていた。公共政策の修士号を取得し、現在はアフガニスタン出身の最初のローズ奨学生としてオックスフォード大学で国際人権法の修士号を取得中だ。

また、マレーシアとフィリピンの海上国境では、日本人起業家の白石達郎と河内将弘が難民支援を行っている。彼らは2022年にAnnotation Support(アノテーション・サポート)を共同設立し、学校に通うために無国籍の子どもたちが市民権を獲得し、親に安定した仕事を提供できるよう支援している。

去年、NGOボーダレス・ジャパンが1000万円の資金を提供した同社は、十数人の子供と親を支援し、今年は約150人の子供と親を支援する予定だ。同社は、AI企業向けの教師データの作成を代行するサービスにその親を採用している。

香港、バングラデシュでメンタルヘルスに取り組む起業家

香港とバングラデシュの社会起業家たちは、メンタルヘルスのサポートに取り組むことを重要なミッションとしている。

香港を拠点とするメンタルヘルスアドボケイトのシュン・イー・チャンは、心の病を持つ人々を支援するために、2020年のパンデミックのピーク時にNPO法人Companion HK(コンパニオンHK)を設立した。

Jahnnobi Rahman, cofounder of Relaxy. SUPPLIED PHOTOJahnnobi Rahman, cofounder of Relaxy. SUPPLIED PHOTO

Companion HKは500人以上の人々にトレーニングを提供し、彼らが就職して社会復帰するのを支援してきた。精神障害にまつわるスティグマの減少に貢献したことで、チャンは2021年に香港赤十字から「香港ヒューマニティ・ユース・パワー・アワード」を受賞した。脳腫瘍を克服したチャンは、政府・公共管理およびコミュニケーションの学士号を取得し、現在は香港中文大学でソーシャルワークの修士課程に進んでいる。

コンピュータサイエンスを卒業したばかりのジャーノビ・ラーマンは、Relaxy(リラクシー)を共同設立し、精神的な問題を抱える若いバングラデシュ人に便利なデジタルソリューションを提供している。

気分のチェックインや瞑想などの無料オプションを提供するRelaxyは、手頃な価格のオンデマンドのバーチャルセラピーセッションから収益を得ている。同社は、ユーザーのスケジュールやニーズに応えるため、アプリにサブスクリプションサービスを導入する予定だ。同社のアプリは最近、バングラデシュで開催されたHuawei(ファーウェイ)のICTインキュベーター2022で第2位に選ばれ、1万5000人以上のユーザーにダウンロードされた。

forbes.com 原文

翻訳=上西雄太

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