AI

2023.05.24

アップルを創った怪物ウォズはAI時代をどう見てる?

ラーニングエッジ代表取締役 清水康一朗

そのウォズが、最近、「ChatGPT、AIの開発を一時期ストップすべき」という活動に賛同し、イーロン・マスク氏と共に署名をしているというニュースがありました。

私が思うには、スティーブ・ジョブズの暴走を間近で見ていたのがウォズ。倫理的や道徳的な観点をも考慮した時、現代のChatGTPなどの「言語モデル」が無料で手に入り、縛るものがなくなることで人類におけるさまざまなリスクが高まる危険性をはらんでいる。そこで、現在のAI百花繚乱時代に警鐘を鳴らしたのではないでしょうか?経済合理性だけでジャッジしないウォズらしい見解だなと思いました。

AIは、人間と楽しくビールを飲めない!

例えば、ドラッグ入手法から他人のコンピュータに入り込むハッキングの方法、オレオレ詐欺などの犯罪マニュアルまで、うまくやればどんな情報も入手できるようになってしまった現在。それらを制御するシステムさえ、分かっている人には簡単に外せてしまう世の中。そんな悪用の可能性が無限に見えてしまったからこそ、ウォズは「社会混乱を招きかねないAIの開発をちょっと待ってみようか?」と、ここで警鐘を鳴らしたのでしょう。

余談ですが、PayPalやYouTubeで名を馳せ、Googleに約2000億円で事業売却したチャド・ハーリーは、世界中からたくさんの投資案件を持ちかけられると言います。そんな彼に、以前、私は聞いてみたことがあります。「どんな人に出資を持ちかけられたら、投資したいって思うの?」と。

すると即座に「ビジネスプランとか、そういうのではない。楽しくビールを飲めるヤツかどうかが、判断基準だよ!」という答えが返ってきました(笑)。そして確かに、一緒にビールを酌み交わし、心の絆を結ぶことは、AIにはできないことです。

日進月歩で進化し続けるAIの未来について、今度またウォズやチャドと再会した時、ビールを酌み交わしながら、改めて聞いてみたいと思います。ちなみに生涯現役を貫くであろうウォズは、いまも「アップル社の社員番号1番」だそうです。

文=中村麻美

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