しかも、最近輸入されるウイスキーは相対的に価格が安い。輸入ウイスキーの1トン当たりの価格は、昨年の上半期には1万1000ドルであったが、下半期になると8500ドルまで落ち、今年の第1四半期には7700ドルにまで下落した。高価なウイスキーより、少し安めのウイスキーが多めに輸入されているということだ。
韓国貿易協会によると、今年3月の日本産ビールの輸入額は38億8900万ウォン(約3億8800万円)で、昨年同期から95.5パーセントも増加している。また、日本産のウイスキー3月の輸入額は、9億9331万ウォンで、昨年同期から35.1パーセント増えた。
SNSなどでも、日本への旅行から帰国する人たちが、ビールと並んで日本産ウイスキーを買ってくるということもよく投稿されている。
もちろん、日本産ウイスキーだけが売れているだけではない。全般的にウイスキーが売れて、ハイボールの人気も高いということだ。
「韓国産ウイスキー」は?
飲むだけでなく、ウイスキーを投資の対象として集める人たちもいる。特にMZ世代のウイスキー投資は、希少価値のあるウイスキーを集めることだ。韓国で人気のある「ザ・バルベニー」の場合、価格指数が1年で19%以上急騰した。日本のシングルモルトウイスキーである「山崎」の価格も、2014年に比べ、この8年で10倍にもなった。韓国国内で手に入らない希少価値のあるウイスキーは、リセール市場または国外から取り寄せることもある。昨年、韓国内でウイスキーを購入することが難しくなると、海外から直接取り寄せることが多くなった。70%以上の税金を払っても海外から直接取り寄せたほうが安いからだ。
関税庁の統計によると、昨年、韓国の消費者が海外から取り寄せたウイスキーの本数は、7万本を超え、前年対比で7倍以上増加したという。
これだけウイスキーの需要があるなら、韓国の酒類会社はどうしているのだろうか。韓国では、ウイスキーをつくることがなかなか難しいらしい。ウイスキーは、水や穀物、気候などがそろっていないといけない。しかし、他の酒はつくられているのだから、ウイスキーもつくれないことはないはずだ。
どうやら前出の原料や気候などの条件のほかに、税金などの問題があるという。出庫価に税金をつける税法や、卸業者を必ず通すようにしている酒類の流通システム、酒類のオンライン販売禁止など、現行の制度的な壁も高いということだ。
そこで、大手の酒類会社は海外の蒸溜所から原液を買い、瓶詰も海外で済ませてから韓国市場に輸入する。それに韓国産のラベルを付けて売られるのだが、厳密に言うとそれは韓国産とはいいがたい。