2019年に日本が韓国企業をホワイト国(輸出手続きの優遇国)から外したことをきっかけに、韓国では「NO JAPAN」運動が始まった。コンビニで安く売られていた「日本産のビール」も「買いません」「売りません」ということになっていたが、いまでは普通に店頭に並べられ、日本のビールもウイスキーもよく売れている。
韓国では、焼酎を水割りなどにせずストレートで飲むことが多く、さらに早く酔うために「爆弾酒」を飲む人たちもいる。「爆弾酒」とは、焼酎にビールを混ぜたかなりキツイ飲み物であるが、会食などでは「爆弾酒製造」の担当というわけのわからない役目の人がその強い酒をつくって、全員でバテるまで飲むこともある。
しかしそれも、いまの「MZ世代」と言われる若者たちには通じない。韓国では、現在20代から30代の若者たちを「MZ(エムジー)世代」と呼んでいるが、彼らはそんなに強い酒が好きではないからだ。だから、韓国の焼酎業界も度数低めの焼酎を出し始めた。そしてコロナ禍のなかで、さらにMZ世代の飲酒事情が変わった。
「山崎」の価格は8年で10倍に
コロナ禍では、韓国でも会合の敬遠や店の営業時間短縮などで、外で飲む機会が減ったため、家の中で飲む「家飲み」や1人で飲む「ボッチ飲み」が多くなった。だが、1人が寂しい人たちは、ズームを使って「ボッチ飲み」同士でわいわい騒いだりすることもあり、それなりにオンラインではつながっていた。「家飲み」や「ボッチ飲み」をSNSにアップして承認欲求を満たす人たちも増えた。すると、マンネリ化しないように酒やつまみなどで新奇なものを探すことになる。そこで、流行り出したのがハイボールだった。ハイボールはウイスキーにソーダ水やトニックウォーターを混ぜて飲むことから、インスタ映えすることがきっかけだという。
さらに、昨年4月に放映されたドラマ「私たちのブルース」で「ウイスキー・オン・ザ・ロック」という歌が人気を集め、さらにウイスキーを飲むことがかなり浸透した。
関税庁の資料によると、今年の第1四半期のスコッチやバーボンなどのウイスキー類の輸入量は、前年同期から78.2パーセントも増え、8443トンに達している。これは、いままでで最高の数字だ。