オウムが仲間とのビデオ通話で寂しさをまぎらわせる可能性

Matthew Modoono / Northeastern University

「動物に関わる実験では、研究のあらゆる側面に関する厳しい倫理指針を規定することが不可欠です」とクラインバーガーは説明した。「鳥たちの権利を守り、彼らが悪い体験をしないための適切な支援を与えられるよう、世話人たちに徹底的な訓練を行うことに注意を払いました。鳥たちが気をそらしたり不快感を表すなんらかに兆候が見られた時は、ただちに通話を中止しました」

クランバーガーらは、さまざまな種類のオウムとその世話人たちとともに、タブレットやスマートホンでFacebook Messengerを使ってビデオ通話するやり方を彼らに教えた。


実験に参加した18羽のオウム(doi:10.1145/3544548.3581166)

クラインバーガーらは世話人たちに、オウムがまずベルを鳴らし、次にタブレットで画面上の別のオウムの写真をタッチして、その相手と通話したい意志を伝える方法をオウムに教えるためのコーチングを行った。ビデオ通話を行うかどうかは自由意志であり、オウムはタブレットのインターフェースを学んだ後も褒美を与えられなかった。

「初めの2週間が終わりオウムたちは基本的な手順に慣れると、自分の意志でベルを鳴らし、話したい相手を選ぶようになりました。この2段階の選択手順は、強い確証を裏づけるものであり、通話が偶然であったり、オウムがベルを鳴らしたかっただけではないことが確証できます」とクラインバーガーは説明した。

オウムがベルを鳴らすと、世話人は通話できる友だちの写真が表示されたタブレットのホーム画面を見せる。写真は主にオウムのサイズと時間帯に応じて2羽か3羽ずつにグループ分けされている。


実験装置の配置。最初の数回の通話では、世話人が通話デバイスを持ち(上または下中央)、その後の鳥たちが慣れてきてからの通話では、デバイスは固定される(日左下または右下)。(doi:10.1145/3544548.3581166)

研究に初めから参加した18羽のうち、実験終了前に脱落したのは3羽だけだった。

それぞれの実験セッションは3時間続き、その間にそれぞれのオウムは5分以内の通話を2回まで開始することができる。被験者となったオウムたちは、3カ月の実験期間中に自発的に147回の通話を行った。世話人たちは鳥たちの行動を綿密に記録し、後に研究チームは通話の様子を写した1000時間以上の動画を解析した。ビデオ通話セッションも後日分析するために録画された。 


ビデオ通話で友だちのオウムとおしゃべりしているシロビタイムジオウムのエリー(Matthew Modoono / Northeastern University)
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翻訳=高橋信夫

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