これが何を意味しているのか。審判委員会の扇谷委員長をして「映像上、誰が見てもゴール」と言わしめた町田対秋田における問題のDAZN映像を、いくらVARが導入されていないからといって、J2やJ3の判定補助としては絶対に使用できないのだ。
3月にはVARが導入されていないエジプト2部リーグで、主審が観客のスマートフォンを借りてリプレイ映像を確認して大問題になった。事態を重く受け止めた同国サッカー協会は、当該試合の審判団全員に無期限の出場停止処分を科す騒動に発展している。
レフェリーブリーフィングでは、メディアからこんな質問も飛んだ。当事者の一人であるウィリアムが、その場で「ゴールでした」と申告したらどうなるのか、と。
実際、アメリカ人と日本人の母を持ち、東京都日野市で生まれ育った28歳のウィリアムは、0-0で迎えた町田対秋田のハーフタイムに山本主審へ真実を告げている。
ウィリアムは秋田戦後に自身のインスタグラム(@ppppppoooppp)のストーリー機能を更新。「秋田戦での判定について」と題したメッセージを投稿している。
「まず判定についてですが、どう見てもゴールですし、自分も気づいていました。ハーフタイムに主審の山本さんにはゴールでしたと伝えました。判定が覆らないのはルール上仕方がないです。かといって試合中に自らゴールですと認めるわけにはいかないですし、そんなことはできません。白々しくプレーを続けたことに後悔はありませんし、プロ選手として当たり前のことをしたまでです」(原文ママ)
その上で審判団だけでなく、フェアプレー精神を欠いているとして自分自身にも批判の矛先が向けられていた状況に対しても、偽らざる思いを綴っている。
「次にレフェリーの方ですが、シチュエーション的にあの距離からボールに追いつくことはできませんし、遠くて分からないです。見え方も違うので難しい判断になります。(中略)正直に言いますけど、これは誰も責められるべき事象ではありません。審判団の方々も自分もです。こういうことを防ぐにはJリーグにゴールライン・テクノロジーか追加副審、またはVARを導入してもらう以外に方法はありません」(同)