気候・環境

2023.05.05 14:00

気候変動のヒーローにも悪役にもなる「細菌」

Getty Images

Quinbrookは最近、多様な有機廃棄物向けのメタン捕獲システム設置の幅広い経験と、その効果を高める独自技術を持つPurpose Energyという会社を買収した。この事業が躍進しているのは、インフレ抑制法による投資税額控除が受けられることに加え、プロジェクトが生み出す一種の長期収入が、Quinbrookの投資戦略と一致しているからだ。同グループのプロジェクトの多くが、ダノン、ユニリーバなどの事業者から出る処理段階の食品廃棄物に関わっている。Purpose Energyはエネルギー消費の追跡と監視も得意としているが、これはESGスコープ2および3の報告には測定が不可欠であり、関連するカーボンフットプリントがすべて「グリーンウォッシング(見せかけの環境配慮)」ではないことを証明しなければならないからだ。
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埋立地から出るメタンはすべて捕獲されるわけではない。一部の消化されやすい有機物は、採集管を設置する前に分解してしまうからだ。このためカリフォルニアなどの州が、その種の有機物を庭ゴミとともに「green bin」と呼ばれるバケツに入れて堆肥化することを推奨している。理論的には、堆肥化の過程で大量の酸素が発生し、細菌が有機物を分解するために十分な酸素が供給されるため、そこにあるメタン生成菌は正義の味方となってメタンを生成しなくなる。これは理論上はすばらしいが、現実には堆肥の山の一部は十分な酸素を得られず、メタンメーカーは悪役モードに変身する。

メタンメーカーはもう1つスーパーパワーを持つことができる

メタンメーカーの中には別の場所で役割を演じるものもある。ウシなどの反芻家畜の消化系の中だ。彼らは、最も才能ある人間の役者にとっても難しい仕事……、ヒーローと悪役を同時に演じている。反芻動物にセルロースを分解させるその細菌は、ほかに消化する方法がない、植物に蓄えられた最も豊富な形態の太陽エネルギーを、人間が間接的に利用することを可能にしている。しかし、同時に彼らは、ウシが大気にゲップとして放出する特徴的なガスも生成する。それは人間由来メタンの27%の発生源となっている。幸いなことに、このウシ由来メタンの問題は、専用の飼料添加物を使用することで最大30%減少させることができる。

また、smaXtecという会社は、ハチノス(ウシの4つの反芻胃のうち2番目)の中からウシの健康状態を監視するadvanced bolus technology(先進ボーラステクノロジー)を開発した。この最新健康管理システムは、動物の健康全体を支援するだけでなく、ウシの生涯生産性も改善し、計算によると、このツールを使用することで、疾病管理の改善と早期介入を通じて、牛乳生産量当たりのメタン発生量を15%減少させる可能性がある。
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翻訳=高橋信夫

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