教育

2023.05.02

変わりつつある学生の評価法 スキルベース採用に追い風

教育の評価方法が変わろうとしている(Getty Images)

米国企業はこれまで、新入社員を大学の学位やその分野での経験年数で評価してきた。学校では、1906年以来、教室で過ごした時間である「単位」によって学習が評価されてきた。

しかし、Google(グーグル)、IBM、Accenture(アクセンチュア)などの企業が採用時に学位取得の条件を取り下げスキルを重視する中で、既存の教育機関のリーダーたちも、これまでのアプローチを覆したいと考えている。

先日、従来の単位による指標を考案した当事者であるシンクタンク、カーネギー教育振興財団は、非営利の標準テスト開発会社であるEducational Testing Service(ETS、教育テストサービス)と提携し、学校が学習やスキル開発を測定する方法の変更を始めることを発表した。現在は研究段階であり、ステークホルダーの獲得に注力している最中だが、ETSによれば、学校はいずれ、標準化されたテストや出席時間ではなく、プロジェクトでのフィードバックや人工知能ツールなどの方法で生徒を評価できるようになるという。

ETSのCEOであるアミット・セバクは、今日の労働市場では、「スキルという通貨の新しい定義がなされていないことが問題なのです」という。「仕事の世界が変わり、コンピテンシーが本当に成果の原動力であることに人々が気づき始めたので、これをどうするかという議論がなされているのです」

セバクは、カーネギー財団のティモシー・ノウルズ理事長とともに、その変化は学校から始まると語る。両団体は米国時間4月17日、サンディエゴで開催された年次ASU+GSVサミットで提携を発表し、GPA(学業成績平均)、出席率、テストスコア、単位といった従来の測定方法の代わりに、学校はプロジェクトや教師からのフィードバック、人工知能ツールによって学生のスキルを測定する必要があると述べた。この年次サミットに参加した他の教育や労働力開発の指導者たちも、職場での即戦力となるための教育システムの役割を強調していた。

ノウルズは「現行の評価制度は、そのスキルや資産、経験に関して非常に狭い視野しか提供していない」と述べている。また、学校がコンピューターサイエンスやその他の関連スキルを教えるように取り組む非営利団体Code.orgの創設者であるハディ・パートビは、今日の教育システムは「学校に入るとタイムマシンに乗ったかのようだ」と語っている。

パートビは、教育は岐路に立たされているという。「K-16(幼稚園〜大学)の学校制度は、多くの人々を失望させています。多くの卒業生を輩出していますが、その卒業生は職場が本当に必要としているスキルを持たないことが増えているのです」

この事態に対処するために、企業は新規採用や労働力開発プログラムを通じて、従業員のスキルアップを図っている。
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翻訳=酒匂寛

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