実際に求職者が行ったプロジェクトや仕事について話すことは、特定のスキルが何を意味するのかを説明し「血肉とする」のに役立つと、スティグリッツはいう。その一方で、「職場に関連性があり、楽しくてエキサイティングなことに取り組んでいると、学生はずっとやる気が出るのです」と彼女は語る。
ETSとカーネギー財団が検討しているのはプロジェクトベースの評価であり、それによって学生のスキルを準備させ、測定することだ。教育経験の評価方法に変化が見込まれる一方で、過去数年間にわたって「スキルベース」の仕事や採用への移行についての議論が急増してきた。企業は、求人広告から大学の学位要件を取り除くだけでなく、特定の学校の学位や特定の企業での経験よりも、グラフィックデザインやコーディングなどの特定のスキルを持つ人々を探すために、人工知能ツールを使用して労働力や候補者プールを検索している。一方、求職者は、自分が持っている特定のスキルを強調し、特定の資格をリスト化したり、ウェブ制作や写真撮影などのスキルをLinkedIn(リンクトイン)プロフィールに追加したりしている。
リンクトインの最近の分析によれば、過去1年間に、ユーザーは、大勢の前で話すことやソフトウェア開発などの個別のスキルを3億8000万件プロフィールに追加したという、これは昨年に比べて40%以上の増加だ。リンクトインの雇用主アカウントでは、米国の求人情報の約5件に1件、19%が大卒を必須条件として記載しなくなったが、2021年の段階では15%だった。
スキルベースの採用アプローチは、公平性を向上させる手段にもなり得る。ノウルズは「スキルベースのアプローチを活用することで、低所得者や移民一世、社会的地位の低い若者のアクセスの機会を増やせます」という。リンクトインの分析では、スキルファーストの採用方法は、雇用者のタレントプールに最大20倍の適格労働者を追加することができる。
今後、ETSとカーネギー財団はより多くの研究を行い、学生のスキルを測定する適切な製品を見つけ、大学関係者や他の教育指導者、公民権団体などの利害関係者を味方につけて関連政策を転換することに注力していく。
ノウルズは、「おそらく50年、あるいは80年前から、働く世界において重要なスキルセットが存在することはわかっていました」という。そして「今、データサイエンスや技術の進歩のおかげで、それらのスキルを確実に測定できる段階にきているのです」と続けた。
(forbes.com 原文)