市場規模10兆ドルの「グリーン水素」水素革命は産業用車両から始まる

Courtesy of PlugPower

プラグパワーは、BMWやアマゾン、ウォルマートなどのフォークリフトを中心に、5万台以上の燃料電池システムを提供している。また、フォークリフトや据え置き型の発電機の燃料となる液体水素の最大の買い手として、水素の製造や輸送、利用のすべてについて専門知識を得たと自負している。マーシュは、再生可能エネルギーが豊富で、そのインフラが充実した米国が、IRA法のインセンティブに後押しされ、グリーン水素大国になると確信している。

CO2排出による深刻な気候変動リスクの高まりを受け、あらゆる産業や発電、輸送を化石燃料から切り離すことが急務となるなか、グリーン水素の魅力はますます高まっている。

それでも前出のマーティンをはじめとした懐疑派は、水素の効率性の問題を考慮したとき、プラグパワーとその競合他社が、最適解を追求していない、と考えているようだ。「グリーン水素の未来は『熱力学』にあると思っています。これからもグリーン水素についての議論では避けては通れないはずです」(マーティン)


プラグ・パワー◎米ニューヨーク州レイサムに本社を置く水素製造・発電企業。無公害のフォークリフトや、据え置き型の発電機用の燃料電池の製造・販売を手がけてきたが、近年は燃料となる「グリーン水素」の自社製造・発電も手がけるように。BMWやアマゾン、ウォルマートなど、工場や倉庫を抱える大企業に製品を供給している。

アンディ・マーシュ◎米エネルギー企業プラグ・パワーCEO。米テンプル大学とデューク大学で学位を取得し、サザンメソジスト大学でMBAを取得。ベル研究所で17年間勤めたのち、2001年に通信業界向けの電子機器を製造する「Valere Power(バレア・パワー)」を立ち上げた。08年に同社を売却した直後にプラグパワーにCEOとして参画。

文=アラン・オンズマン 写真=フランコ・ボクト 翻訳=上田裕資

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