CO2排出による深刻な気候変動リスクの高まりを受け、あらゆる産業や発電、輸送を化石燃料から切り離すことが急務となるなか、グリーン水素の魅力はますます高まっている。
それでも前出のマーティンをはじめとした懐疑派は、水素の効率性の問題を考慮したとき、プラグパワーとその競合他社が、最適解を追求していない、と考えているようだ。「グリーン水素の未来は『熱力学』にあると思っています。これからもグリーン水素についての議論では避けては通れないはずです」(マーティン)
プラグ・パワー◎米ニューヨーク州レイサムに本社を置く水素製造・発電企業。無公害のフォークリフトや、据え置き型の発電機用の燃料電池の製造・販売を手がけてきたが、近年は燃料となる「グリーン水素」の自社製造・発電も手がけるように。BMWやアマゾン、ウォルマートなど、工場や倉庫を抱える大企業に製品を供給している。
アンディ・マーシュ◎米エネルギー企業プラグ・パワーCEO。米テンプル大学とデューク大学で学位を取得し、サザンメソジスト大学でMBAを取得。ベル研究所で17年間勤めたのち、2001年に通信業界向けの電子機器を製造する「Valere Power(バレア・パワー)」を立ち上げた。08年に同社を売却した直後にプラグパワーにCEOとして参画。