現状では水素の大部分は、天然ガスを水蒸気と反応させることで製造されているが、その過程で二酸化炭素(CO2)が放出される。米エネルギー省によると、製鉄、石油精製、農業などの産業用途向けの水素は、世界で年間1億t以上製造されており、そのうち約1000万tが米国向けだが、そのほぼすべてが天然ガスから作られる「Gray Hydrogen(グレー水素)」で、大気汚染を引き起こす。
そんななか期待を集めるのが、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの電力を用いて、水を水素と酸素に分解する「電気分解装置」を用いたテクノロジーだ。マーシュはプラグパワーを、このクリーンな水素のトップメーカーにするだけでなく、専用の輸送タンカーの製造や他社向けの電気分解装置の販売を手がける企業にしたいと考えている。
プラグパワーのグリーン水素プラントは、すべてが順調に進めば25年末には1日500tの燃料を送り出すことになる。テック企業大手アマゾン・ドット・コムは最大21億ドル相当の同社の株式を取得し、年間1万t以上の水素を購入する計画だ。米小売最大手ウォルマートも、倉庫用の燃料電池フォークリフト9500台分の水素の購入を予定している。
プラグパワーはこれまで、韓国のSKグループが主導した19億ドルの調達ラウンドを含めて、50億ドルを調達し、いくつかの戦略的買収を行っている。
ジョージア、ニューヨーク、テネシー、テキサス、ルイジアナ、カリフォルニアの各州で13の水素精製所を建設中で、ベルギー、フランス、スペイン、ポルトガル、韓国、オーストラリアではパートナー企業とプロジェクトを準備中である。