スタートアップで起きがちな「メンタル不調」 誰がケアをすべきか

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年々注目度が高まっている、働く人のメンタルヘルス問題。2023年4月には、国立の研究施設である国立精神・神経医療研究センターが「こころの情報サイト」を開設しました。

心の病気や治療、サポート状況などを専門家らが解説する総合サイトで、国として生活の支援につなげるのが狙いだといいます。これからはより一層、職場でのメンタルヘルス活動が展開されていくでしょう。
 
筆者である夏目萌も、スタートアップ企業の第一線でメンタルヘルスの重要性を肌で感じてきました。

9割の経営者が「高いストレス耐性を持つべき」と回答

今日、メンタル不調者は年々増加傾向にあり、仕事に起因して発症した精神疾患の労災件数も増えています。世界精神保健調査によると、日本では生涯を通じて5人に1人が心の病気にかかるといわれるほどです。
 
メンタルの問題は企業の大小に関係なく問題視すべきこと。そのなかでも特に私が身をおくスタートアップ業界は、常に企業の存続がかかり、少数精鋭の労働環境であるため、メンタルヘルス不調を抱えやすい環境といえます。
 
そしてスタートアップで働く人は、使命感が強く、「自分はストレス耐性が高い・高くあるべき」と考え、無意識に頑張りすぎてしまう人が多い傾向があります。実際リンケージが2022年9月に実施した調査では、「スタートアップ企業の経営者はストレス耐性が高くあるべき」と回答した人は87%にのぼります。
 
こうした「あるべき」という意識を持ちすぎると、不調に気づきづらく、認知した頃には重症だったというケースも起こり得ます。

社会人3年目、メンタルヘルス不調に

私自身もかつて、何度かメンタルヘルスの不調を覚えた経験があります。
 
社会人3年目、部署異動をしたばかりの私は、当時の上司の詰問が怖く、質問や反論ができず、それぞれの仕事の意味が理解できないまま業務にあたっていました。そのような仕事の仕方では、当然結果は出ません。しかし、異動直後であり、結果を出すことに焦っていた私は、自分を追い詰め、過度に働き、十分に睡眠をとれず、やつれきった状態になりました。
 
見かねた周囲のすすめでチームを変えてもらうと、そこはオープンマインドなチームで、上司に気兼ねなく相談できる環境でした。徐々に結果も出て裁量も増え、ストレスや体調は劇的に改善しました。
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文=夏目萌 編集=露原直人

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