国内

2023.04.12

シリーズAで54億円 「カフェロボ」スタートアップが見据える本丸とは

CEO兼CTOの中尾渓人(左)とCOO兼CFOの山田奨(撮影=伊藤圭)

業務の省人化や自動化を行うロボット開発や企業のDX支援事業を展開する「New Innovations(ニューイノベーションズ)」が、4月12日、シリーズAとして54.1億円の資金調達を行ったことを発表した。
 
既存のDEEPCOREやTHE SEEDから追加投資を受け、新たにSBIインベストメント、グローバル・ブレイン、KDDI Open Innovation Fund 3号、三井不動産らが加わった。また三井住友銀行、みずほ銀行、三菱UFJ銀行などからの融資も受けた。
 
同社は2021年4月からAIカフェロボット「root C」を展開してきた。専用のスマートフォンアプリからコーヒーの種類と受け取り場所・時間を入力すると、root C設置場所でコーヒーが用意されるという仕組みだ。東京スカイツリーソラマチ、東急日吉駅、東急新横浜駅、ラゾーナ川崎プラザなど、東京、神奈川、大阪を中心に10カ所に設置されている。


2021年12月から2022年2月まで、ブルーボトルコーヒーと期間限定のポップアップカフェを開催した 

利用者が支払う料金は、単品なら450円、定額サービスなら月額1980円(税込)で8杯まで、月額7980円(税込)支払えば1カ月何杯でもコーヒーが楽しめる。現在アプリのダウンロード数は、約8.5万を数えている(2023年3月時点)。

コーヒー屋さんでは終わらない

CEO兼CTOの中尾渓人(なかお・けいと)は、幼少期から機械に興味を持ち、炊飯器やテレビ、ミキサーなどを分解するなど、好奇心を原動力に小学生の頃からはロボットの国際的な競技大会にも出場して、注目を集める存在ともなっていた。
 
高校生になると、フリーのエンジニアとして企業からのマルウェア駆除やサーバー保守、ウェブサイト制作などを受注して、2018年、高校3年生の時にNew Innovationsを起業した。
 
COO兼CFOの山田奨(やまだ・つとむ)もまた慶應義塾大学在学中に、Deep Techを投資対象とするソフトバンク系ファンドで投資先企業の支援を行うなど、学生時代からビジネスにも活動の幅を広げていた。
 
ユニークな経歴を持つ2人が率いるNew Innovationsは、root Cを皮切りに事業を拡大させてきたが、中尾は「単にコーヒー屋さんになりたいわけではない」と言明する。
次ページ > ハードとソフトの両軸で攻める

文=露原直人 撮影=伊藤圭

ForbesBrandVoice

人気記事