健康

2023.04.22 10:00

AI時代に人間らしさを取り戻す「セルフアウェアネス」の実践

鈴木 奈央

感情を感じる、感情をヒントにする

現代の日本において、セルフアウェアネスを高められる感情の捉え方を知っている人はおそらく少ない。社会生活においては、感情を顕にすることはタブーとされる場面も多く、多くの大人が『感情』の正しい取り扱い方を知らないまま過ごしている。日常生活や仕事の中で湧くさまざまな感情に対して、ほぼ無意識に過ごしているのだ。

感情の中でも「嬉しい」「楽しい」といったポジティブなものとはうまく付き合いやすいが、「悲しい」「怖い」「辛い」といったネガティブな感情は扱いが難しい。私自身も、もともとこうしたネガティブな感情を感じることが苦手で、ネガティブな感情を持つ自分に罪悪感を感じたり、そうした感情が出てきた時には、瞬間的にその感情に蓋をしたり、自分の心から排除するように対処をしてきた。

人の心や精神性を扱うことを仕事にさせていただく中で、自身のセルフアウェアネスを高めるために様々な探求をした結果、あるとき「感情はサインである」ということに気がついた。特にネガティブな感情にこそ、自分への隠れたメッセージがあるのだ。



「悲しい」という気持ちが湧くとき、自分はなぜ悲しいのか? 何に対して悲しみを感じているのか? どうしたらその悲しみの気持ちは癒えるのか? を自分に問いかけてみる。

または「怖い」という気持ちが湧く場合、自分は何を怖がっているのか? どうしたらこの恐怖が心から消えていくのか? 冷静に向き合ってみる。

そうしてひとつひとつ掘り下げていくことで、ネガティブな感情の奥に自分自身の「本当の願い」や「隠れたメッセージ」が見えてくることがある。ネガティブな感情はときに、しっかり認識して、感じ切るだけで癒されていくことも多い。

感情に向き合うことをやめてしまうと、感じるセンサーがどんどん鈍くなり、いつのまにか何をやっても無感情のような状態を招くこともある。感情にのまれるのではなく、ポジティブな感情もネガティブな感情も対等に扱い、それぞれの感情がもたらすサインを受け取ること。それがセルフアウェアネスを高めるための感情の取り扱い方である。
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文 = 小川麻奈

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