キャリア

2023.04.16 11:00

「目の前の喜び」を原動力に変える シバジム柴田陽子の仕事術

柴田陽子事務所 代表取締役 柴田陽子

「将来の夢」は必須じゃない

20代、30代の若い経営者から相談を受けることもあります。IPOやバイアウトをゴールに掲げ、うまくいかない、計画通りに進まない、と気を病んでしまう人もいます。
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しかし、いったい何と戦っているのだろう、と思うことがあります。対・人であればコミュニケーションでいくらでも調整ができますが、計画に自分を合わせていくのは限界があります。IPOは本当に自分の夢なのか。身近にある曖昧な言葉を捕まえて、それを夢やプレッシャーにしてしまう大人が多いように思います。

子どもに「将来は何になりたいか」と聞く大人もいますが、私は将来の夢が必ず必要だとは思っていません。これから多くの人に出会い、人生が大きく変わる可能性が山ほどあるうちに夢を決めるなんて、到底無理なことです。

子どもだけではありません。明日また誰かに出会うかもしれない、そこで新しい感情に出会うかもしれない。そんな可能性が広がっているのは、大人も同じです。
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もちろん、若くして夢を持てる人もいます。でも、夢がなかったとしても、今、目の前の人を喜ばせることが嬉しいならば、その嬉しさに一生懸命になればいい。そうした恥ずかしくない一歩一歩を進んだ先に、神様はいったいどこに連れていってくれるんだろう。そんな風に考えて、ワクワクしている人の人生は素敵だと思います。

道の真ん中を堂々と歩く

幸せとは何か。ずっと考えてきたのですが、数年前にようやくたどり着いた言葉があります。それは「物心ともに自立し、味方と応援してくれる人の多い人生」です。

シバジムのメンバーには、自分が守りたいものを自分の判断で守るために、必要な経済的自立を考えて努力をするように伝えています。また、自分の問題解決は自分でできるという精神的自立を達成した上で、誰かのことに軸足を置くことも大切です。

一度きりの人生、幸せは味方と応援してくれる人が多い人生だと気づいたならば、まずは自分から気をつかうこと、気配りをすること、相手が喜んでくれる言葉を選ぶこと。

誰かのための仕事をするうちに、自分と一緒に働くことを喜ぶ仲間が増え、また新しい一歩を踏み出せるようになる。その積み重ねが自分の進む道の真ん中であり、その道を一歩一歩行けば、堂々と輝いていけるのではないでしょうか。

文=鶴岡優子 写真=小田駿一 編集=鈴木奈央

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