両企業は、他の多くのテック企業同様にレイオフを発表しているが、その動機は大きく異なる。アマゾンは縮小だ。昨年秋から始まり、約1万8000人の従業員が解雇され、さらに先月は9000人の雇用が削減されたと報じられている。また米国内で約100の施設をキャンセル、閉鎖、または延期させている。最近では、Amazon Go(アマゾン・ゴー)の29店舗のうち8店舗を閉鎖することも発表した。
アマゾンの年末年始のeコマース事業の予想は上回ったものの、年間赤字は史上最悪となった。2022年第4四半期の電子商取引売上は2021年から2%減少し、全年売上は0.3%減少した。
一方、ウォルマートもレイオフを発表したが、電子商取引のフルフィルメントセンター5カ所で2000人の従業員だけが対象だ。これは米国内で総計160万人以上の従業員のうちのごく一部である。理由は自動化技術の導入によるものだ。ウォルマートは物流技術に力を入れており、それがコスト削減につながっている。さらに、小売店舗網を持つことで、「クリック&コレクト」(店舗受け取り)と「最後の1マイル配送」の両者で大きな利点を獲得している。
アマゾンが縮小する一方で、ウォルマートの米国内のオンライン売上は、最近の休暇シーズンの四半期で前年比17%増、昨年度全体では前年比12%増となっている。アマゾンは依然として電子商取引市場での収入が約7500億ドル(約98兆8000億円)と圧倒的で、ウォルマートの800億ドル(約10兆5000億円)は遠く及ばない。しかし、実はアマゾンの小売事業はほとんど利益を上げておらず、同社は収益のほとんどをクラウドコンピューティング部門に依存している。
パンデミックによる混乱と近年の技術革新を受けても、アメリカ人が買い物を考えるときに真っ先に思い浮かぶのは、依然として実店舗だ。CNNの報道によれば、Bed Bath & Beyond(BBBY、ベッド・バス・ビヨンド)の破綻と約400店舗の閉鎖は、ショッピングセンターにとってはそれほど破滅的な事態ではないという。BBBYの店舗がなくなっても、TJ Maxx(TJマックス)、HomeGoods(ホームグッズ)、Ross(ロス)などのチェーンがすぐに後を継いでいるからだ。
同報道によると、Bed Bath & Beyondの不動産は「小売業者、ジム、その他広いスペースを必要とする者たちにとって貴重で希少な資源だ。2008年の金融危機とオンラインショッピングの台頭以降、新規の小売開発はほとんどなく、空室率は過去最低を記録している」とのことだ。
現時点では実店舗が競争優位性を持っており、その意味でウォルマートは恵まれた立場にあると言える。
(forbes.com 原文)