3月16日にマンハッタンの連邦裁判所に提起されたアマゾンに対する集団訴訟は、同社が2022年1月に施行されたニューヨーク市の条例に抵触したと主張している。この条例は、商業施設が生体認証スキャナーを使用する場合、入り口付近に明確で目立つ標識を配置するよう求めている。
条例の施行以降、アマゾンが開示をせずに大勢の顧客の生体情報を収集していたことを裁判官が認定した場合、同社は数千万ドル規模の罰金を支払うことになると、原告の弁護士であるアルバート・フォックス・カーンは指摘する。カーンは、ニューヨーク市の権利擁護団体「監視技術監視プロジェクト(Surveillance Technology Oversight Project)」の創設者兼エグゼクティブ・ディレクターだ。
「この裁判に勝利することはもちろん、これを機に多くの企業が生体認証技術の使用を考え直すことを期待している」とカーンは話す。彼によると、この条例の違反に対する訴訟は、今回が初めてだという。
アマゾンは、米国で無人コンビニAmazon Goを数十店舗展開している。来店客は、入店後にアマゾンアプリをスキャンすれば、レジや決済システムを通らずに店を出ることができる。同社は、追跡技術を使って顧客の行動や動きを監視し、購入者のアマゾンアカウントに商品代を請求する。本件に関してアマゾンにコメントを求めたが、回答を得ることはできなかった。
アマゾンは「ジャスト・ウォークアウト(Just Walk Out)テクノロジー」について次のように説明している。「顧客は、入店後にほしいものを手に取り、レジ待ちをせずに店を出ることができる。これには、コンピュータビジョンやセンサーフュージョン、ディープラーニングなど、自動運転車と同じ技術を用いている」