丸山:そこは自分のなかでつながっています。もともと人に関心があり、コンピュータサイエンスでもUI(ユーザーインタフェース)を研究していました。あとは「人」ってものすごくソフトなんですけど、ここにシステム思考やロジカルさをもち込むのは大事だと、この仕事をやればやるほど思うんです。なんとなく、ふわっといきがちなので。
植野:「あの人いい人だな」で決めたらいけない。
丸山:それも大事ではあるのですが、隠し味でロジカルさやシステム思考をもち込むと、いろんな可能性があります。
植野:ヒューマンな部分がありつつ、裏でロジックもちゃんと駆動している。
丸山:その両面をやれるのがエゴンゼンダーの強みです。
日本人のポテンシャルは高い
植野:CxOを目指す読者に対して、どんな助言をしますか。丸山:まずはそう思っていること自体、貴重であると言いたいです。年間数百人の方と面談していますが、将来「CxOになりたい」と強く思う人は意外と少ないんですね。
植野:海外と比べてですか?
丸山:はい。さらに、日本人はそうした層が減ってきた気がするんです。ワークライフバランスを大事にしたり、コロナもあってこれからの人生を考え直したり。だから、CxOを目指す向上心をもっていることでスタートラインに立てています。
ちなみに、私たちは「ポテンシャル」と「能力」、2つの軸を別のものとして人を見るのですが、海外の方とアセスメント結果を横並びで比較したとき、日本人はポテンシャルで全然負けていないんですよ。
植野:ポテンシャルにはどんな要素が入るんですか?
丸山:「好奇心」「洞察力」「影響力」「胆力」、この4つです。好奇心などは日本人のほうがかなり高い。一方でコンピテンシー、能力という面では負けているんですね。ただし、それは経験の差であって、自らの資質には自信をもっていいです。
植野:日本人は能力開発がし切れていないだけだと。
丸山:あとは開発されるのを待つのではなくて、自分から主体的に動く。現代がいい時代だと思うのは、自社だけではなく、外にもいっぱい機会があることです。副業なり、自分で起業もできるので、チャンスは意外にありますよ。
例えば、少し前に『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』という本がありました。もうかるかどうかわからないけれど、能力開発の面ではすごくいい。経験を蓄積しようと思ったら、やれることはたくさんあるはずです。
植野:お勉強で座学のオンラインコースに入るのではなく、実践できる環境がいっぱいあると。
丸山:経営をやりたければ、まず経営をやってしまうということです。
植野:副業でレストランでも、ネットで海外起業してしまうのでも。
丸山:ビジネススクールの環境もいいんですよ。その場に行くと、みんな当たり前にそういうことを考えているのですごく刺激になる。ただ、同じくらいの時間と労力を、実践経験を買う側に使ってもいいんじゃないかと。