NTT東日本グループが「睡眠」に取り組む理由
では、なぜNTT東日本グループが、 “睡眠”や“音楽”に注目しているのか。同グループのスリープテック事業では、2022年8月にブレインスリープとパートナーシップを結び、法人向けに「睡眠市場参入コンサルティング」や「睡眠改善プログラム」「睡眠データプラットフォーム」の提供を行ってきた。
売上はすでに約1億規模まで拡大しており、5年後には10億規模までの成長を見据えている。ただ尾形は、これらのサービスだけでは、睡眠にまつわる問題の本質的な解決にはならないと思案したという。
「睡眠自体を、もっと個人が考えるものに、つまり“カルチャー”へとつくり変えることが必要だと思いました。“良い眠り”をサポートするのは当たり前で、その“良い眠り”の先にどういった新しい体験をつくるかが重要になってくると考えました」
そこで2022年9月にNTT東日本グループで仮想コミュニティ「ZAKONE」を発足。様々な企業を巻き込み、睡眠改善に資する新規事業創出やサービス開発、イベントなどを企画している。
「ZAKONE」で制作した仮眠ミュージックビデオ「カレ~なる仮眠」。視聴しながら仮眠~起床を経ることでクリエイティビティを向上させる狙いがある
「私たちが実現したいのは、『眠りのエンタメ化』。ZZZNでは音楽という体験を掛け合わせましたが、今後、様々な業界とのコラボレーションで、睡眠の質の向上に取り組めると思っています。我々は、睡眠と異分野とをつなぐハブでありたい」
同グループは睡眠事業におけるビジョン「通信インフラから健康インフラへ」を掲げる。ZZZNは、まさにそのビジョンを世の中へ示す機会ともなった。
ZZZNは1度きりのイベント。スリープ・ツーリズムのように展開するのではなく、睡眠に対する意識を高めるトリガーをつくる狙いがある。実際に、クリエイティブで新しいカルチャーを好む人たちが多く参加し、SNSでなどで発信された。
「NTT東日本グループとして、更に創造性を重視するようなカルチャー醸成が必要だと考えています。ですのでZZZNは新しい挑戦であり、次世代のインフラ企業であり続けるための、ひとつの分岐点だと思っています」
同グループは今後も「睡眠×○○」をテーマに様々な分野のパートナーとのコラボレーションを促進し、デジタルとエンタメを掛け合わせて、睡眠課題の解消に貢献していく。
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