睡眠効率が上がるオリジナルのプレイリストを制作
今回、演奏曲として使用されたのは、越境クリエイター集団・Konelとソニー・ミュージックジャパンインターナショナルが作成したオリジナルのプレイリスト「sasayaki lullaby」だ。ワン・ダイレクション『What Makes You Beautiful』などの名曲・ヒット曲を“ささやき声”にリアレンジカバーしたもので、2022年の「世界睡眠デー」に第一弾リリースされた。NTT東日本とKonel、ブレインスリープは、このプレイリストの睡眠への影響を調査。睡眠効率(布団の中にいる時間と寝ている時間の比率)が3.7%上昇することが分かった。また、「交感神経を抑制しイライラや不安な気持ちを軽減する効果」と「寝つきの良さ・睡眠の質改善に寄与する可能性」が確認されたという。
本企画を統括したNTT東日本の尾形哲平(ビジネスイノベーション本部 ソリューションアーキテクト部 スリープテック事業 ディレクター)によると、この調査結果を受けてZZZNの企画に至った。
その際にまず参考にしたのは、マックス・リヒター(音楽家)が2015年に手がけた「スリープ」。8時間超に及ぶ楽曲で、その演奏会は夜から朝にかけて行われることで有名だ。会場にはベッドが並べられ、観客に思い思いの時間を過ごしてもらいつつ、安眠を促す。
NTT東日本 ビジネスイノベーション本部 ソリューションアーキテクト部 スリープテック事業 Director 尾形哲平氏
「今回はコロナ禍ということもあり、雑魚寝方式だと隣に知らない人がいてリラックスできないかもしれない。そこで、ある程度プライベートを保ちながらも演奏が聴ける形をとりました」
そのため、場所にはこだわった。敷地の真ん中にスペースがあって、そこで音楽を奏でることで客室すべてに聞こえるような設計の建物を探したという。
客室に囲まれる形で位置する中庭にスピーカーを設置し、生演奏の様子を流した
ちなみに、リヒターの曲には歌詞がないが、ZZZNでは歌詞がある楽曲を演奏した。尾形は「歌詞のある曲でも睡眠への効果を実証できたことは、音楽業界にとっても新たなタレントの発掘やライブ形式のバリエーションといった意味で可能性が広がったのではないか」と分析する。