またウェルビーイングと関係の深い食品業界では、味の素が2月28日に「中期ASV経営 2030ロードマップ」発表を行いました。その中で藤江太郎社長は、ウェルビーイングにフォーカスした新しいパーパスを示しました。
具体的には、アミノ酸のはたらきで食と健康の課題解決としていた志(パーパス)を、「アミノサイエンスで人・社会・地球のWell-beingに貢献する」に変更し、「2030年のありたい姿としてアミノサイエンスを生かし、食と健康の課題解決と同時に、その先にあるWell-beingにも貢献する想いを新しい志に込め、引き続き10億人の健康寿命の延伸と50%の環境負荷の削減に取り組む」というものです。
味の素以外にも、日立やパナソニックなどパーパスや中期経営計画にウェルビーイング的な内容を組み込む企業は年々増えています。
大手の日本企業においてSDGsに対する取り組みがようやく当たり前になりつつ中、その先に取り組むビジネステーマとしてウェルビーイングが注目されるのは、アメリカなど海外においてこの領域のスタートアップへの投資が急増するなど、今後成長が期待される産業分野だとみられているからです。
それに加えてもう一つの背景としてあげられるのが企業の人的資本情報の開示がいよいよ日本でも義務付けられることです。第一弾として、2023年3月期決算の有価証券報告書から大手企業を中心に開示が始まります。
金融庁は昨年11月7日に「企業内容等の開示に関する内閣府令」を改正し、(1)女性管理職比率(2)男性の育児休業取得率(3)男女間賃金格差―の3つの開示を義務付けました。今後企業が取り組むテーマが健康経営からウェルビーイング経営へとシフトしていくのは間違いありません。
なぜ今、「人的資本」が注目されるのでしょうか?