オーフォート鉄道の全線開通は1902年。主な目的は、キルナ鉱山で産出される鉄鉱石を、不凍港であるナルヴィクまで鉄道輸送することだ。そこからは世界に向けて輸出されている(第二次世界大戦においてナチスドイツが北欧侵攻を実行したのは、この鉄道が輸送する鉄鉱石を確保するためだった)。
ナルヴィクからビヨルクリーデンまでの列車の旅は1時間40分弱で、運賃は約30ドル(約3900円)だ。道中、内陸部まで深く入り組んだフィヨルドや、そびえる山々を眺めることができる。
ビヨルクリーデンに降り立つと、雪が深々と積もっていた。荷物とともにスノーモービルに乗り込み、専用道を走って向かった先は、暖かく快適なホテル・フヤレット。2月から5月までのスキーシーズン中は、1泊およそ190ドル(約2万5000円)だ。
部屋の窓からは、氷に閉ざされた巨大なトーネ湖と、アビスコ国立公園を象徴する山々を望むことができる。日中は隣接するスキー場に向かい、約50ドル(約6500円)のスキーパスを購入。これで、少なくとも数時間は楽しめる。
とはいえ、この地を訪れた本来の目的はオーロラだ。初日の夜は吹雪いたが、2日目と3日目は雲がかかってはいたものの晴れ間がのぞき、一晩だけオーロラが発生した。
幸運にも、筆者が訪れたのは2つの巨大な磁気嵐の合間だった。到着時に1つ目が止み、数日後に2つ目が発生したのだ。できるだけ長く滞在したほうがいいのは、こうした理由からだ。筆者の場合はたった3泊だったので十分とは言えなかったが、旅の目的であるオーロラを少しは鑑賞できた。
ビヨルクリーデンは、夜になると闇に包まれ、坂道をちょっと上ればオーロラの観測地点がある。オーロラを待って数日滞在する間も、列車から景色を眺めたり、スキーを楽しんだりと、退屈しない。
9月から3月までを狙って訪れれば、空が澄み切ったときにオーロラを観ることができるだろう。
(forbes.com 原文)