2023.04.02 15:00

オーロラを見るなら「北極列車」に乗るべき理由

小さくて黄色い駅舎のナルヴィク駅からキルナ行きは毎日運行しており、昼前と午後半ばに出発する。スウェーデンのキルナまでは130キロほどの道のりで、途中に10以上の駅があり、いくつかに停車する(途中駅のリクスグレンセンにもスキー場がある)。

オーフォート鉄道の全線開通は1902年。主な目的は、キルナ鉱山で産出される鉄鉱石を、不凍港であるナルヴィクまで鉄道輸送することだ。そこからは世界に向けて輸出されている(第二次世界大戦においてナチスドイツが北欧侵攻を実行したのは、この鉄道が輸送する鉄鉱石を確保するためだった)。

ナルヴィクからビヨルクリーデンまでの列車の旅は1時間40分弱で、運賃は約30ドル(約3900円)だ。道中、内陸部まで深く入り組んだフィヨルドや、そびえる山々を眺めることができる。

ビヨルクリーデンに降り立つと、雪が深々と積もっていた。荷物とともにスノーモービルに乗り込み、専用道を走って向かった先は、暖かく快適なホテル・フヤレット。2月から5月までのスキーシーズン中は、1泊およそ190ドル(約2万5000円)だ。

部屋の窓からは、氷に閉ざされた巨大なトーネ湖と、アビスコ国立公園を象徴する山々を望むことができる。日中は隣接するスキー場に向かい、約50ドル(約6500円)のスキーパスを購入。これで、少なくとも数時間は楽しめる。

とはいえ、この地を訪れた本来の目的はオーロラだ。初日の夜は吹雪いたが、2日目と3日目は雲がかかってはいたものの晴れ間がのぞき、一晩だけオーロラが発生した。

幸運にも、筆者が訪れたのは2つの巨大な磁気嵐の合間だった。到着時に1つ目が止み、数日後に2つ目が発生したのだ。できるだけ長く滞在したほうがいいのは、こうした理由からだ。筆者の場合はたった3泊だったので十分とは言えなかったが、旅の目的であるオーロラを少しは鑑賞できた。

ビヨルクリーデンは、夜になると闇に包まれ、坂道をちょっと上ればオーロラの観測地点がある。オーロラを待って数日滞在する間も、列車から景色を眺めたり、スキーを楽しんだりと、退屈しない。

9月から3月までを狙って訪れれば、空が澄み切ったときにオーロラを観ることができるだろう。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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