iPad1人1台をいち早く導入、中高一貫で使った東京成徳中高。その成果は?

iPadを6年間使った生徒が今年高校卒業する東京成徳中高

体育祭などで撮る映像にさらに斬新な画角のものを加えたくて高校1年生のときにドローン操縦の資格を取得。翌月には学校に交渉して、撮影用ドローンを購入してもらった。

以来、ドローンとPremiere Pro、After Effectsが井戸根さんの「いつもの道具」になった。東京成徳中高の体育祭や桐蔭祭の動画に、上空からの映像があるのは井戸根さんの功績だ。

体育祭で徒競走の空撮映像があるなんて、まるでオリンピックのよう体育祭で徒競走の空撮映像があるなんて、まるでオリンピックのよう

さらに、3Dモデルに興味が出てMAYAの操作の技能を習得。エニグマ暗号機の3Dグラフィックを作成したりする。また、そもそも2Dグラフィックの絵が好きだったことも思い出し、イラストを描いたり、それを自分でGarageBandで演奏した音楽と組み合わせたりするようになった。

プレゼン機会が多さが『学び取る力』をつけた

社会人になったら、企画書の作成やプレゼン、さらには動画の制作をすることも要求される。CADを思いどおりに扱い、プログラミングの技能を持っていれば、できることの幅が大きく広がることはいうまでもない。中学、高校でそんな技能を生徒たちに身につけさせることができる学校は、決して多くはないだろう。

4人に、進路と将来の夢を聞いてみた。

平木さんは、カナダの大学に行くだけあって、デジタルデザイン、特にグラフィックデザインの分野で海外で活躍したいとのこと。関屋さんは動物の行動学を学べる大学を検討中だ。井戸根さんは、南オーストラリア大学に進学が決まっており、カメラやCG、映画制作などについて学び、映像業界の仕事をしたいと考えているという。大橋さんは、宇宙関係の仕事をするのが夢。でも、東京成徳中高に戻って、和田先生のように生徒を導ける先生になるという夢もある。

「できれば宇宙経由で東京成徳中高に戻って来られると最高ですね」と大橋さんはいう。

教育は、結果がすぐに出ないものだけに、先進的なICT教育が子どもたちに何をもたらすのか? いわゆる受験対策にフォーカスした勉強でなくていいのか? という疑問もあったが、4人の活躍を見ると『学ぶ力』が身につけば、卒業後の人生も自ら切り開く力も身につけられるようだ。

生徒たちは「東京成徳中高では、中学生の頃からプレゼンする機会がとても多かったこと」という。誰かにプレゼンテーションするために、自分で調べて、理解し、再構築することは、一番の学習なのだろう。

編集=安井克至

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