ビジネス

2023.04.04

宮崎の「干し椎茸」が米アマゾンで人気爆発、ドバイ富裕層にも

干し椎茸の生産・販売・加工を手がける椎茸屋「杉本商店」杉本和英社長(写真提供:JETRO)

英語のコミュニケーションは、魂を込めたキーワード(と、「かぶりもの」)で

海外とのビジネスコミュニケーションに関しては、兄と役割分担をしています。

兄は、アメリカの大学の英語の通信作文講座を取って勉強しました。僕はオンライン英会話をずっと契約していて、フィリピン人の先生たちと会話しています。それで、実際、現地に行って会話するのは僕で、メールは彼。

英語での営業には、さほど不自由しません。なぜなら、彼らが聞いてくるのは、「椎茸のこと」だけですから。

例えば「英語でカレーライスの作り方を教えて」と言われたら僕はたぶん困ります。でも椎茸のことなら、説明できます。よく使う単語を積み木のように組み立てて、コミュニケーションが取れます。大事なのは、とにかく魂をこめて、説明に必要な中で一番強いキーワードを選んで話すこと。でもそれだけの話で、それほど難しいことではないと思います。

そしてなによりも僕は、どこにでも椎茸をかぶって出ていきますから、その時点でだいたい、相手もテンションが上がって共通認識ができるような気がしますね。だって、たとえば、ミッキーマウスにわざわざめんどくさい話はしないでしょう?

羽田空港内のカフェでも、杉本社長はしいたけをかぶってくれた

羽田空港内のカフェでも、杉本社長は椎茸をかぶってくれた

「絶対に真似されない」ストーリーとメカニズムで勝つ

海外市場での僕らの強みと骨身にしみて思うのは、「絶対に真似されない」ことですね。

僕たちが商っている原木栽培しいたけは、地元の生産者たちとクヌギの木を切るところから始まる、自然の力を借りた循環型の栽培方法です。もちろん、「じゃあ、うちも木で椎茸を栽培する」という発想もあり得ますよね。実際、原木椎茸の栽培をしている生産者は、アメリカにもヨーロッパにも多くある。

ドバイ出張にもしいたけのかぶりもの(スーツケース上の青いバッグ)とともに

ドバイ出張にも椎茸けのかぶりもの(スーツケース上の青いバッグ)とともに

しかし、「木が違う」とまったく別の椎茸になってしまうんです。
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構成=石井節子

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