実は、ゴミとなるはずの使い捨てカイロには、さまざまな再利用アイデアがある。カイロの中の鉄と炭を活用し、水質を改善している人たちもいる。
今回は、使い捨てカイロの実態と使用後の活用方法をまとめていく。
日本のカイロの販売量
はじめに、日本の1年間のカイロ販売数を知っているだろうか。日本カイロ工業会によると、2021年度に日本で販売されたカイロの数は約17億枚。海外用も含めると、1年間で20億枚以上を販売している。これらのデータから、日本で捨てられているカイロは年間約73万トンと想定される。
東京海洋大の水質浄化プロジェクト
使い捨てカイロを再利用するプロジェクトは、東京海洋大学の佐々木教授と発明家の杉本氏がヘドロを分解し、においをなくそうとしたことから始まった。使い捨てカイロの中の鉄と炭を使って「鉄炭団子」を作り、目黒川の水質を向上させたのだ。屋外実験では3カ月でほとんどヘドロがなくなったとの報告もある。
この技術を利用して、商品化したのが「Go Green Cube」である。
Go Green Cubeとは
「Go Green Cube」は、1粒6グラムほどの小さなコルクみたいなものだ。1粒1粒が小さくて適量を持ち運びやすく、一度に撒く量も調整しやすい。これをヘドロがたまった汚水に入れると、ヘドロの有害物質がなくなり、水質が改善する。異臭を抑えられることに加え、水中に酸素が供給され、水生植物も繁殖しやすくなる。
2018年に兵庫県内のゴルフ場で実証実験を行ったところ、40センチほどあったヘドロが5カ月後には4分の1に減ったようだ。
実は「Go Green Cube」は家庭の排水溝にも使うことができる。キューブを1つネットに包んで排水溝のゴミ取り網に置いておくと、ぬめりがなくなり、ゴミを取るのが楽になったとの声もある。
市販の洗剤を使用するよりも環境負荷が小さいと考えられるため、Go Green Cubeはご家庭でも活躍するだろう。
使用済みカイロの回収スポット
Go Green Groupが発表している使い捨てカイロの回収スポットは、現時点で東京都、大阪府、新潟県の3都府県にある。回収スポットに行けない人は、郵送でも送れる。期限切れで未開封のカイロに関しては、未開封のままか、開封して完全に温度が下がってから発送する必要があるため、注意しなければならない。