選定されたアイデアは、万博の会場内に設置するベンチ、ゴミ箱、食器といった備品やサービスに関するもの。今後、CDC選定委員でデザイナーの倉本仁、柴田文江、服部滋樹とともにアイデアを磨き、形にしていく。制作費用は事業者負担となる。
万博以降も続くレガシーに
EXPO 共創プログラムディレクターの齋藤精一(パノラマティクス主宰)によると、CDCの目的は、万博をすべての人・企業・団体が参加できる試みにすること。「これまで万博には〝大企業が技術を競い合うもの〟というイメージがありましたが、今回は中小・スタートアップ企業を含む多くの方々に参加していただきたいという思いがあります。それが結果として地域や産業を強くするからです。この機会を変革装置・加速装置として最大限に活用し、万博以降も続くレガシーを生み出せたらと思っています」
昨夏にアイデアを募集したところ、58の企業・団体から79件の応募があった。
応募条件は、1.万博を機会として新しい“何か”をつくること 2.共創の取り組みであること 3.デザイン視点で取り組むこと 4.大資本でなくても取り組めること、の4つだった。
応募の多かったアイデアが「ベンチ」だ。物流会社のエースジャパン(京都)などは、森林の間伐処理時に捨てられることの多かった枝・葉・樹皮などを活用したベンチを提案。持続可能な森林のエコシステムの実現を描く。
未利用間伐材を活用したベンチ(エースジャパンなど)
また、京都工芸繊維大学発のスタートアップcolourloopは、衣服などの廃棄繊維を色ごとに分けてアップサイクルする技術を活用し、故繊維企業、家具デザイナーとともにベンチを制作予定。廃棄繊維は、その4分の3が焼却処分されている現状があるという。
このほかにも、国産材や地域材を活用したベンチが3件選ばれた。
衣服などの廃棄繊維をアップサイクルしたボード。これを活用してベンチをつくる(colourloopなど)
食品廃材やホタテの貝殻が備品に生まれ変わる
独自の技術が光る提案も目立った。丸紅とパルプモールド業のプラス産業(静岡)は、飲食の場で使用できる備品として、循環型食器「edish」を提案。
食物の皮などの食品廃材を食器にアップサイクルする独自技術を活かして、プラスチックは一切使わずに、耐水、耐油、耐熱性を持つ食器をつくる。使用後は堆肥化して土壌改良材として使用できるため、2度目のアップサイクルにもつながる。
循環型食器「edish」