そんな大阪・関西万博のカギを握るのが「SDGs」だ。万博協会は「EXPO for SDGs」を掲げ、2030年までにSDGsを達成するためのプラットフォームになる、としている。
そこで今回は、なぜ万博でSDGsなのか、そして企業が対応すべきことはあるのか、を解説する。
なぜ万博でSDGsなのか?
まずSDGsの期限とされている2030年までのタイムラインを確認する。2015年にスタートしたため、本年は折り返し年だ。2015年は、環境面(E)ではパリ協定が、企業統治面(G)ではコーポレートガバナンス・コードの開始が、そして経済・社会・環境(ESG)の3側面ではSDGsの採択があった。この年は「持続可能性新時代」の幕開けであり「ESG元年」といえる年で、潮目が大きく変わった(図表)。
そして2019年ごろからは、欧米企業の後を追う形で、日本企業もSDGsを競争戦略に活用する「SDGs経営」を加速してきた。万博を招致するうえでも、この国際的な流れは無視できないものとなっていた。
大阪が「SDGs」を実装した未来都市に
そんな中、政府は大阪・関西万博の招致外交で、「SDGsの実現」を目標に掲げた。2018年11月にパリで開催された博覧会国際事務局(BIE)総会での最終プレゼンテーションでは、パナソニックの執行役員が、アジア・アフリカなどの無電化地域にソーラーランタンを寄贈してきた活動をアピールした。
その結果、BIE加盟国の投票により開催が決定。ほかに立候補したのは、日本のほか、ロシア(エカテリンブルク)、アゼルバイジャン(バクー)であった。
これを受け、2020年度には開催地の大阪府と大阪市が「2025年大阪・関西万博をインパクトとした『SDGs先進都市』の実現に向けて」を共同提案。「SDGs未来都市」および「SDGs自治体モデル事業」にも選定された。
また、大阪市は2022年4月、政府が進める「スーパーシティ」の第一弾に、つくば市とともに選ばれている。スーパーシティとは、テクノロジーを活かした持続可能で住みやすいまちづくりを実践する自治体のことである。つまり、世界に先駆けて未来の生活を実現する「まるごと未来都市」だ。