国内

2023.03.28 08:20

経営者・坂上忍が本腰を入れる、ビジネスとしての「犬猫保護」

老犬・老猫ホームを立ち上げれば、経済的に余裕のある人は、捨てる以外の選択肢ができます。これまではカフェやグッズ事業をやってきましたが、何か保護活動と直接的に結びつくものでなければ、やる意味がないと考えているんです。

成功すればこれがモデルとなって全国に店舗展開もできるし、多くの老犬・老猫を救える。飼育できなくなった飼い主さんも罪の意識を持たずに済みます。

──以前、5年で形にしたいと話されていました。実現できそうですか?

はい、それが理想ですね。収益の軸を確立してチームの運営も誰かに任せられるようにできたらいいなと思っています。でも、だいたい5年じゃ無理。5年で何とかすると考えて、7~8年で形ができたら最高です。

実際に立ち上げてから2~3年は、僕の知名度をフル活用すれば話題性もあって何とかなるでしょう。ただ、それは一時的なもの。だからこそ2~3年で形を作らないといけないということです。今が勝負どきですね。

話題性は一度上がったらあとは下降するだけなので、緩やかに落ちていくように努力をしながらも、他の事業を仕掛けていく必要があります。そのなかでしっかりと軸が定まれば浮き沈みは関係なくなるので、早くそこに行きつきたいと思っています。

稼いだお金は動物、人間、地域貢献に

──今年4月からその勝負どきの2年目に突入するわけですが、どんな展開を考えていますか?

実は今年のスケジュールはほぼ決まっています。保護活動のイベントや企業とのコラボなどで埋まっていて、そろそろ2024年のことを考えていこうという感じです。目標は最低1億円。稼いで使う、稼いで使う、です。


大事なのは稼いだお金を動物、人間、そして地域貢献に使うということです。地域貢献も、とても大事なことだととらえていて、まず3月にここで「子ども食堂」をやります。そして、袖ケ浦市を中心に千葉県内の特別養護学校や小学校で保護活動についての特別授業を行っていく予定です。

地道な作業ではありますが、動物にとっていい社会を作るには、子どもたちに理解してもらうのが一番早い。保護犬・保護猫のことは話題になっているものの、知っている人は3割程度と言われています。なので「地域貢献+周知活動」というのはお金を稼ぐことと同じくらい大事なことです。

今年からやっとその活動を始められます。未来への投資ですね。従業員には「お金になることを死ぬ気でやって、お金にならないことも一生懸命やって、それがバランスだ」と常々話しています。
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取材・編集=露原直人 文=阪根美果 撮影=小田駿一

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人とペットのウェルビーイング

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