経営は個人事務所で培った我流
──坂上さんは経営者でもあるわけですが、その経営について誰かに相談したりしているんですか?僕は我流です。14歳まで児童劇団にいて、その後は個人事務所でやってきたので自分が1年間でどれだけ稼がないと会社が維持できない、というのはそのころから感覚としてわかっています。仕事のやる気がなくなった時期は上半期だけ狂ったように仕事して、下半期に遊ぶ。遊びすぎて「このままでは会社が潰れます」と言われてまた働く。そういうことをずっと繰り返してきました(笑)
番組作りも経営みたいなもので、「坂上どうぶつ王国」を始めるときには、裏番組はどんな番組か、他にどんな動物番組があるのかを調べて、差別化はどうしたらいいかを検討しました。放送が始まると視聴率を見ながら数字を取りにいくわけです。それはもう経営ですよ。
僕はたぶん脳みそがプロデューサーです。予算を知ったうえで何ができるのかを考えるタイプ。予算が決まっているのに理想を言ってどうするの?という、合理的で効率的な考え方ですね。小さいころからそうだったと思います。
──ご自身も東京都から千葉県へ移住しましたね。犬や猫との関係性は変わりましたか?
千葉に家を建てたきっかけは番組の企画でした。平日は東京、週末は千葉の家で過ごす予定だったのですが、草や土など緑あふれる環境に愛犬たちが大喜びするのを目の当たりにして、平日と週末が入れ替わりました。いまは全日千葉になり、もう東京に戻る気はなくなりました。
こっちに来て大きく考えが変わったのは、動物に好かれようと思わなくなったことです。東京だと近所迷惑を考えてしまうので、どうしてもしつけをせざるを得なくて、でもその分「嫌われたくない」という思いが強くありました。その息苦しさに限界を感じて千葉に住もうと決めました。
移住してからは、厳しいしつけはなくなりましたね。いまは散歩もその子が行きたいところに僕がついていくという感じです。毎日同じことを繰り返していると、道順や僕とのペースもわかってくれるので、だいたいリードはたるんでいます。だからと言ってわがままになっているわけではなく、東京で築いた関係性があるので、ここでのルールもすぐに覚えてくれます。
この環境が僕の心にもペットの心にも良い変化をもたらし、関係性も良好にしてくれていると感じています。「さかがみ家」をこの場所にオープンさせたのも、こうした経験が大きいと思いますね。