そんななか、貸付投資サービスの「Funds(ファンズ)」が伸びている。2019年1月にサービスを開始して以降、順調に個人投資家を獲得し、現在の登録数は約7.3万人。累計募集額は300億円を突破した(2023年2月末時点)。
Fundsは、個人が1円単位から企業に資金を貸し出し、利回り1〜3%で資産運用ができるサービスだ。このような、資産運用をしたい個人投資家と資金を集めたい企業をネット上でマッチングさせる仕組みを「ソーシャルレンディング」と呼び、その数はここ最近増えている。
ただ、5%を超える利回りを提示し、ユーザーを集めようとするサービスも多い。そのなかでFundsは、どのような差別化で成長を遂げているのだろうか。経営企画室長の前川寛洋(まえかわ・のぶひろ)に、その理由を聞いた。
安全資産に注目し、市場開拓
そもそもFundsが、このソーシャルレンディングに参入した理由は何か。前川が次のように説明する。「投資をしていない方の多くが、その理由を『損をしたくない』『金融や投資に関する知識を持っていない』『価格変動を追うのがイヤだ』と言います。
株式や仮想通貨など、積極的に資産を増やすことを目的とした、リスク資産へ投資する金融商品は多くあります。しかし、定期預金のように、大きく減ってしまっては困る生活のための安全資産を置いておく場所は少ない。
この安全資産を、堅実に運用できるような商品が求められているのでは? という仮説のもとスタートしたのがFundsです」
前川は、「サービスをローンチしたときには『こんな低い利回りで投資家が集まるわけがない』と笑われたこともありました」と振り返る。
「他社では5%を超える利回りをつけているところもあり、特にサービスを開始した2019年当時は、Fundsになかなか投資家が集まらないという状況もありました。
ただ、Fundsが他と違うのは、上場企業だけを扱っている点です。その安心感によって徐々にユーザーが増えていき、分配遅延や貸し倒れも0件。こうした実績をコツコツと積み上げ、投資家さんたちの期待利回りも低減していきました。
安心感と健全性を保ってきたことで、ようやくローンチ当初に思い描いていたポジションを確立できたのかな、という実感があります」