AI

2023.03.16

テクノロジーが2030年までに可能にすること「小売業におけるAIの未来」

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2. サプライチェーンは完全に接続され高度化される可能性がある

AI、ML、CV技術を活用することで、ブランドや小売企業は、様々なシナリオをモデル化し、商品や顧客情報を含む膨大なデータセットとサプライチェーンを結びつけ、生産を完全に最適化することができるようになるでしょう。

また、AIを活用した高度なシステムとロボティクスにより、倉庫の在庫管理や商品とプロセスの可視性が向上すると思われます。

倉庫管理

ロボティクス

倉庫、フルフィルメントセンター、製造工場の多くでは現在、繰り返し行われる作業には人間の働きが必要です。しかし、人の手で行われる運搬、梱包、仕分け、保管などの作業は、ヒューマンエラーによるミスや不整合が起こりやすく、作業量の増加や時間・コストのロスにつながっていました。

また、手作業の倉庫では、多くの時間と資源が浪費されるため、保管業務にかかる関連コストが高くなる傾向にあります。そこで、小売企業は、AI技術を活用して、パフォーマンスを事前に予測し、ターンアラウンドタイムを短縮して注文処理を改善し、サプライチェーンの課題や限界を特定することによって、倉庫の効率を向上させることができます。

AIは、商品の購入頻度に基づき、頻度の高い商品を梱包ステーションの近くに配置したり、その他のよく購入されるSKUの近くに配置するなど、商品や材料を倉庫内で配置・保管することができます。

時間をかけて実世界から得られる膨大なデータやシナリオ、および合成データ(AIの学習アルゴリズムを進化させるために作成された人工データセット)から学習し、AIを活用した自動化システムとロボティクスは、ヒューマンエラーを完全に排除し、倉庫は自律的に、最高の効率で動作するようになる可能性があります。AIを搭載した倉庫システムは、商品注文の検証や発送、出荷の追跡、顧客フィードバックの収集にますます活用されるようになるでしょう。

多くの小売企業は、すでに自律型ボットや車両を導入しており、Coresight Researchの推計によると、2022年には世界で約62万400台の産業用ロボットが新たに導入され、2030年にはその数が前年同期比12.5%で増加し、160万台近くになると予測しています(図3参照)。

ロボットはサプライチェーンにおいてすでに極めて有用な技術ですが、AIアルゴリズムの進歩に伴い、現在実用化されているのは、実現可能なことのほんの一端に過ぎないのです。

図3. 世界の産業用ロボット導入数予測

出典:Coresight Research

IoT(モノのインターネット)

カメラ技術との組み合わせにより、IoT(接続されたデバイスやセンサーからクラウドにリアルタイムでデータを送信する広大でグローバルなネットワーク)は、すでに生産シナリオをモデル化して倉庫戦略への反映を実現させています。AI技術の進歩に伴い、IoTは持続可能性と効率性の観点からも非常に重要なツールになると思われます。

AIを搭載した産業用ロボットを倉庫で使用する小売企業が増えれば、ロボットのセンサーは大量の環境データを収集し、倉庫の作業員や管理者にリアルタイムでそれらを提供できるようになるでしょう。

そうした包括的で説明的なデータセットには、温度、動き、照明、GPS位置、音など、固定カメラなどの従来のセンサーの能力をはるかに超えるデータが含まれる可能性があります。

MLアルゴリズムは、これらの複雑なデータセットを分析し、実用的な洞察を導きだし、最適かつ効率的な倉庫オペレーションを実現することができるようになります。例えば、IoTで生成されたデータセットを使うことで、倉庫で必要な労働力、必要な輸送手段、最適なルートなどを予測することが可能です。
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文=RxR Innovation Initiative

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