AI

2023.03.16

テクノロジーが2030年までに可能にすること「小売業におけるAIの未来」

Getty Images

CVとRIFD

小売企業は、CV(コンピュータービジョン)によるデータ駆動型の手順でリスクを低減しながら、パターンを予測し、潜在的な生産上の問題を事前に発見することができます。インテリジェントカメラシステムによる診断とプロアクティブな分析は、生産、流通、配送における効率の最大化と遅延の低減に役立ちます。

また、大規模なCVプラットフォームを使って製品や材料のデータを収集・集約し、その情報を分析することで、不良品やロットの原因を特定することも可能です。

また、CVシステムは、倉庫での在庫管理をサポートし、商品の紛失や不良品などの品揃えや在庫の問題を回避するのにも役立てることができます。

AIを活用し、大量に商品を抱える倉庫や保管センターの在庫をリアルタイムに把握・仕分けすることができ、問題が発生した際には、従業員に自動的に通知を出し、遅延などの悪影響を軽減することができます。

倉庫やフルフィルメントセンターでより正確な在庫管理を行うために、紙やバーコードのスキャナーから、RFID(無線自動識別)タグへ切り替え、RFIDリーダーに信号を送信する小売企業が増えています。

AIとCVがRFIDラベルから実用的なデータを作成し、在庫レベル、製品の位置、潜在的な不良バッチまたは製品をリアルタイムに可視化することができます。RFIDタグから正確なデータを読み取ることで、在庫管理の改善、機会損失の回避、正確な価格処理につながります。

MLアルゴリズム

リアルタイムデータを活用したAI在庫管理は、より正確でタイムリーな予測を実現します。ソーシャルメディア、オンラインコメントやレビュー、人口統計データ、天気など、社内外のソースからデータを収集し、MLアルゴリズムは、膨大で複雑なデータセットからトレンドやパターンを特定し、予測を行います。

これにより、手作業や人間によるデータ分析よりも正確に、積極的に在庫を管理することができます。

ラストワンマイルの自律走行車

2020年に発表された国連の報告書によると、2030年までに世界人口の約60%が大都市に居住するようになると見られています。その結果、世界経済フォーラムによると、2030年までに世界の上位100都市では、オンライン注文の宅配に対する消費者の需要増に対応するため、宅配バンの数は36%増加すると予想されています。また、渋滞は21%以上増加し、配送車両による排出量は32%増加すると予測されています。

AI技術と電気バッテリーを搭載した自律走行車は、長距離、中間、ラストワンマイル配送の新しい標準と規範となり、小売企業のコスト削減や効率化につながることが期待されています。

これまで、破壊行為や悪天候、不安定な交通状況などがラストワンマイル配送の障害となっていましたが、今後は、CV、ビジョンAI、カメラ、センサーなどを活用してルート計画や障害物回避を行うなど、多くの課題がクリアできるところまでその技術は進むと思われます。

これらの技術はまだ発展途上であり、現在街中を走っている完全な無人運転車(図4に示す自動運転のレベル4と5)はほんの一握りですが、2030年には米国や他の先進国でレベル5が一般的になっているかもしれません。

図4. 自動車の自動化レベル
(図内の訳、「レベル0:完全に人による運転」「レベル1:運転アシスタント(クルーズコントロール)」「レベル2:部分的に自動運転(スティアリング、アクセルなど)」「レベル3(2022年):条件付け(状況感知)」「レベル4:高レベルでの自動運転(条件次第では完全自動運転)」「レベル5(2030年):完全な自動運転(人の介入が必要ない)」)
出典:Coresight Research
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文=RxR Innovation Initiative

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