AI

2023.03.16

テクノロジーが2030年までに可能にすること「小売業におけるAIの未来」

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3. AIによる顧客体験の強化

本稿の冒頭で述べたように、現在、顧客と対話するAI搭載ソリューションとしては、バーチャルアイドル、アシスタント、チャットボットなどによる大まかな会話が可能です。

しかし、NLPアルゴリズムがさらに発展すれば、日常生活で人間と接するのと同じような対話が可能になり、メタバースでの活動をスムーズに自動化し、NFT(ノンファンジブルトークン)や現実世界の取引データからパターンを見つけ、小売企業はお客様ごとに高度にパーソナライズした体験を提供できるようになるかもしれません。

日常生活におけるAI

2030年までには、顧客にかかわる仕事や私生活のほぼすべての場面でAIが活用されるようになると思われます。重要な応用分野はAIベースのデジタルアシスタント機能で、すでに広く普及しており、さまざまな場面で応用されています。

現代のような情報過多の状況下では、情報のフィルタリング、分類、ナビゲーション、プロセッシングをサポートすることができ、これらの技術は、例えば、電子メールのフィルタリングやEコマース上でのパーソナライズされたレコメンデーションなど、すでに実用化されているものもあります。

チャットボットとバーチャルアシスタント機能は、今のところ十分に活用されていませんが、Coresight Researchでは、2022年に米国人口の17.8%が週単位で、AIを利用した音声による買い物を行うと予測しており、2025年には27.7%、2030年には76.0%に増加すると予測しています。

バーチャルエージェントは、家事を手伝ったり、音声コマンドの文脈を正確に理解したりと、さまざまな場面で活用されています。多くの業界アナリストは、デジタルアシスタントは最終的にカメラやロボットの体を備えるようになると考えています。スマートアシスタント機能に肉体を加えることで、日常生活や家の中の動き、家具や技術的なガジェットの位置など、周囲の環境をより深く認識することができます。

AIアシスタントとロボットの中間的な存在であるバーチャルアシスタントは、こうした機能構築によって、よりパーソナライズされたアイデアを提供し、人の手作業を助け、問題が発生する前に正確に予測することができるようになるかもしれません。

また、人々が、他人や自然界との関わりを大切にするようになれば、それらをサポートするAIが登場し、スローライフを推奨する文化思想である「スロームーブメント」の拡大にも貢献するでしょう。

こうしたトレンドを支えるためにも、AIを搭載したスマート家電は、食品や必需品の買い物などの面倒な家事に適用されることになると思われます。

メタバース

小売企業にとって今後重要なビジネスチャンスの場となるメタバースの発展には、AIが不可欠です。AIは、スムーズなグラフィックスレンダリング、ヘッドセットによる没入感、ARやVR技術との統合を担います。また、バーチャルアイドルを介して消費者とのエンゲージメントを高めるためのデジタルチャネルの提供も行います。

バーチャルアイドル

ニューラルネットワークや AI エンジンの発展が進めば、バーチャル体験を提供するゲームデザイナーやブランドは、プレイアブルではないキャラクター(バーチャルアイドル)を作成し、声優ソフトウェアを使ってより魅力的なストーリーを伝えることへの活用ができるようになります。

AIエンジンによって、ボットは人間の行動に基づいたパーソナライズされた個性を持つようになり、よりリアルな会話ができるようになるでしょう。
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文=RxR Innovation Initiative

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