宇宙

2023.03.13

地球外知的生命探査の期待が高まる次世代電波望遠鏡プロジェクト

次世代大型電波干渉計の想像図。背景に見えるのは太陽系外の地球型惑星(NSF/AUI/NRAO)

過去数十年にわたり光学望遠鏡が数々の美しい画像を提供してきた一方で、急成長していながら過小評価されてきた天文学の分野が、ようやく見合った評価を受けようとしている。電波天文学だ。電磁スペクトルの1Hzから3000GHzにわたる周波数の電波を観測する天文学だ。

映画『コンタクト』を見た人なら、天文学者が大きな移動式パラボラアンテナを使って、遠く離れた地球外文明から届いているかもしれない電波信号を探す姿に馴染みがあるだろう。しかし、あまり知られていないのは、現代の電波天文学者は、観察結果から画像を作成する能力を持ち、その解像度は最高の光学望遠鏡をも上回っていることだ。

多くの人が、私たちが画像を作成していることを理解しないとNext Generation Very Large Array(ngVLA、次世代大型電波干渉計)のプロジェクト研究者でバージニア州シャーロッツビルの米国国立電波天文台(NRAO)にいるエリック・マーフィはいう。「私たちは同じ天体物理学的現象を研究していますが、可視光とは異なる部分の電磁波を使っています」

その目標に向かって、天文学者たちはNRAOの次世代大型電波干渉計が、ニューメキシコ州ソコロにある既存の超大型電波干渉計(VLA)に取って代わるのを心待ちにしてる。何よりもこの新しい装置は、1980年から稼働している27基のパラボラアンテナからなる現在の超大型電波干渉計と比べて、10倍の感度と10倍の分解能を有する。

次世代大型電波干渉計は超大型電波干渉計の改良版ではなく、サンアグスティンの砂漠平原を中心にまったく新しい電波望遠鏡を建設するプロジェクトだとマーフィはいう。

口径18mのアンテナ244台は、周波数1.2GHzから116GHzまでのマイクロ波に対応し、ニューメキシコ州全土からテキサス州西部、アリゾナ州東部およびメキシコ合衆国北部に至る8860kmの範囲に分散して設置される。口径6mのアンテナ19台がメインアレイ(望遠鏡群)の中心部にショートベースラインアレイを構成する。



現時点での推計では、次世代大型電波干渉計の建設費は約23億ドル(約3170億円)、年間運営予算が9300万ドル(約128億円)で、建設費の75%を全米科学財団が受け持ち、それ以外は外部のパートナーから募る予定だ。
次ページ > 次世代大型電波干渉計にとって最も重要な科学的推進要因

翻訳=高橋信夫

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事