宇宙

2023.03.13

地球外知的生命探査の期待が高まる次世代電波望遠鏡プロジェクト

次世代大型電波干渉計の想像図。背景に見えるのは太陽系外の地球型惑星(NSF/AUI/NRAO)

次世代大型電波干渉計は、同時に複数の目標物を観測し、その後すべてのデータを受け取ったバックエンドで相関器(correlator)を使用して分類することができる。データは、それぞれのユーザー毎に独立して処理される。

これは光学天文学では不可能だ。

最大の科学的推進要因は、地球型惑星の形成だとマーフィはいう。彼方の惑星系で、原始惑星物質が進化して地球に似た惑星が形成されるところをリアルタイムで見ることができるようになる。

次世代大型電波干渉計は、分子雲から太陽系へと星系が物理的に進化する際の化学的影響の追跡も可能にする。予測されてはいるがまだ観測されていない、複雑な前生物的分子を発見することもできる。

最大の技術的課題

それらの分子が生体分子の先駆けである可能性は高い。しかし見つけるためには、何百万本もの高周波スペクトルを文字どおりより分けて調べる必要がある。

宇宙科学と前生物的分子の検出は、次世代大型電波干渉計のコンピューティングの大部分を占めるだろう。宇宙の炭素分子の非常に長い連鎖の分子線の遷移を見つけるためには、数百万のチャンネルにおよぶ細い線をすべてふるい分けする必要がある。

これらの前生物に由来する分子線は、観測範囲全体に密に広がっている。それだけの量のデータを処理するためには、世界最強のスーパーコンピュータと同等のシステムが必要だ。しかし、2030年代終わりにフル稼働が始まる頃には、それも問題ではないはずだとマーフィーは話した。

映画『コンタクト』のファンに

地球外知的生命体探査(SETI)を研究している天文学者たちは、次世代大型電波干渉計を使って地球外生命体独自のレーダーや通信、推進排気の形跡などを探すだろう。期待されるのは、そんなとてつもない距離から送られてくるかもしれない地球外技術の検出が、次世代大型電波干渉計によって可能になることだろう。

地球外知的生命体探査が次世代大型電波干渉計の最優先課題であることはなさそうだが、この新しいテクノロジーが、太陽に似たどこかの星に潜むどんなものを見つけるのかは誰も知らない。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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