しかし、プッシュ通知の「承諾率」については、日本は他国と比較すると承諾の割合は低くなっています。
日本において、承諾率を上げるために行ったさまざまな工夫の中で最も効果的だったのは、「科学的なメッセージ」を加えることでした。
承諾率を上げるための万国共通の方策として、承諾画面にうつる前にポップアップメッセージを送信する、ということを行っています。グローバルで使われているメッセージは、「日々の勉強を忘れないようにリマインドを送ります」、といったものでした。
日本でもそれは取り入れたのですが、リマインドを送る、だけでは日本人ユーザーにはあまり訴求できず、Duolingoを使う上でのとくに強いインセンティブとならなかったのです。
そこで、「記憶の定着はタイミングが大切であること」、だからこそ「Duolingoは記憶が定着するベストなタイミングで通知をお知らせする」といったポップアップメッセージを作成してみることにしました。
このようにいわば科学的な「理屈」を説明することで、プッシュ通知の承諾率の上昇に大きく貢献したのです。日本向けに、より具体的にローカライゼーションする形で工夫を凝らした点が功を成したと思います。
潜在的学習者に訴求
──Duolingoが、本来であれば自発的に語学学習を行わないような「自分のやる気を意識していない学習者」をユーザーペルソナとして訴求できている理由は何ですか?
特に英語に限った話でいうと、英語が持つインセンティブが大きいのではないかと考えます。
ほとんど全ての日本人が、英語をしゃべれるようになるのならなりたい、という潜在的な欲求は持っていると、我々は推測しています。しかし、実際にその欲求を行動に移すとなると、めんどくさい、楽しくないといった、語学学習についての負の感情が阻害しているのではないかと考えます。
それなら、めんどくさくない楽しい語学学習方法があるなら、こうした人々も勉強したいと感じるのではないか、といった発想がDuolingoがマーケティングで大事にしている考え方となっています。
Duolingoは、めんどくさくない楽しい語学学習方法を提供できるサービスなので、こうした人々の潜在意識を、ただくすぐってあげているだけなのです。
──Duolingoでは、現在42言語、100コース以上が展開されていますが、新しい学習コースは、現在でもボランティアユーザーによって開発されているのでしょうか?
現在は、ボランティアによる開発は行わず、社内で開発を行っています。すでに42言語、100コース以上があるので、新しく横に増やしていくというよりは、既存のコースを深掘りしていくといった段階にあるためです。
コースの優先度を戦略的に決定し、カリキュラムデザイナーや言語学者など、インターナルな人材を用いて、各コースのクオリティにばらつきがないよう取り組んでいます。