アメリカで、TikTok企業アカウントとして初めて成功
──Duolingoの特徴である、楽しく学習するといった側面を強調するために、具体的にどのようなことが行われているのでしょうか?
語学学習は大変で困難を伴うものであるが、それを我々は楽しくしている、というのがDuolingoの大きな独自性です。
本社があるアメリカの例でお話ししましょう。楽しい、という雰囲気を与えるためにアメリカではTikTok(https://www.tiktok.com/@duolingo)を活用しています。
内容としては、独自のキャラクターであるDuoが着ぐるみとして登場し、なにか面白いことを行ったり、また自虐的な内容を発信することもあります。
例えば、会議を行っているときに、ふと窓の外をみるとDuoが巨大化しており、「今日の学習は...?」とこちらに迫ってきている。このように、アメリカではDuoが一種のインターネット・ミーム(ネット上で拡散され、爆発的に広がった一種の「ネタ」のこと)となって人気を博しています。
DuolingoのTikTokアカウントは、現在600万人を超えるフォロワーを獲得しており、アメリカで初めて成功した企業アカウントのひとつと言ってもよいでしょう。
日本では現在TikTokアカウントは開設していませんが、今後開設できたらと考えています。
ただ、日本ではまだミームの認知度が低いので、アメリカと同じ内容を発信しても同様の効果は得られないと思います。
アメリカでウケた方向性を一定程度は踏襲し、日本の人々にウケるような新たな内容も、少し取り入れるつもりです。
「私の犬は弁護士です」。拡散のための効率的動線を
──現在、日本において、Duolingoは教育アプリとしてのダウンロード数はトップを誇っていますが、その秘訣は何でしょうか?水谷:我々はDuolingoを、お金を払って宣伝してもらうというよりは、口コミで育ってきているサービスだと捉えています。
サービスの質が良いので、有償のマーケティングの結果入ってくるユーザーより、自然に入ってくるユーザーの方が、割合としては圧倒的に多くなっています。例えばTwitterでのつぶやきや、口コミなどです。
実際に、どこでDuolingoの存在を知ったかという新規ユーザー向けのアンケートにおいて一番多いのが、友達や家族からの紹介となっています。
また、我々はこうした口コミを誘導することを意識して、さまざまな仕掛けをつくっています。
例えば、「私の犬は弁護士です」といったちょっと変な例文も、Twitterなどでの拡散に一役買っています。他にも、拡散するためにスクリーンショットをとる際、Twitterでシェアされやすいサムネール画像となるように設定しています。
こうしたさまざまな仕掛けが誘導動線となり、ユーザーにDuolingoを宣伝してもらうことに成功していると考えます。