スウェーデン発祥の家具店IKEA(イケア)約400店舗を運営するIKEA Retail(イケア・リテール)を中核事業とするIngka Group(インカ・グループ)で、人事部門を統括するウルリカ・ビーサートは、キャリアの若い頃に配送センター管理チーム唯一の女性として、男性リーダー9人とサウナを訪れるオフサイトイベントに参加したときのことを今でも覚えている。
「男性たちがチームづくりをしている間、私は外に出て、いすに座っていなければならなかった。最悪だったのは、私がそれに何のリアクションも起こさなかったことだ」。26年前はそれが当たり前という風潮だったため、あまり気にならなかったのだという。
だが、今は違う。今月6日、イケアはトップ管理職でジェンダー平等をほぼ達成したと発表した。現在、31カ国にある現地法人の最高経営責任者(CEO)のうち14人(45%)が女性で、世界各地の小売部門トップマネジメントチームの56%を女性が占める。10年前は、現地法人CEOの女性比率は28%、小売部門経営幹部では35%だった。(インカ・グループの経営陣は現在13人中5人が女性で、もう一歩といったところだ。)
昨年、イケア・インド法人CEOにスザンヌ・パルヴェラーが抜擢され、今年1月にインカ・デンマーク事業のCEOにドリス・ランが就任したことで、グループのジェンダー比率は転換点を迎えた。国際労働機関(ILO)では、バランスのとれた雇用比率とは従業員の同性比率が40~60%の範囲に収まる水準だとしている。
イケアがジェンダー平等を推進するようになったのは、2002年に当時のCEOが優先課題に掲げてからだが、ビーサートによれば本格的な取り組みが始まったのは10年前だ。スウェーデンに全社のトップリーダーが集まって、初のイケア女性オープンネットワーク会議が開催された。
「自分たちがあまりにも平等でないという事実に、まさしく震撼した」とビーサートはフォーブスのインタビューで振り返っている。2013年の会議では、進行役が「自分たちの価値観に誇りを持っている私たちが、どうしてこの程度なのかというちょっとした恥ずかしさ」を呼び水に議論をスタート。会議後、会社は10年以内にジェンダーバランスを50/50にする目標を設定した。