高成長企業の3分の1は女性が経営 資本不足乗り越え起業に成功

Getty Images

各国の大学や学術機関が実施する調査プロジェクト「グローバル・アントレプレナーシップ・モニター(GEM)」の報告書によると、現在世界で高成長を遂げる企業の3分の1は女性が経営している。

Women’s Entrepreneurship Report(女性の起業活動に関する報告書)」2021/2022年版は、世界各国の起業活動に関する最新のデータを総合的にまとめたもの。高成長企業の定義として、従業員が20人以上で、今後5年間で20人以上の採用を見込む会社としている。

調査対象は47カ国で、高所得国(カナダ、チリ、日本、サウジアラビア、韓国、ウルグアイ、米国など)、上位中所得国(ベラルーシ、ブラジル、コロンビア、ジャマイカ、ルーマニア、ロシア、南アフリカ、トルコなど)、下位中所得国(エジプト、インド、イラン、モロッコなど)、低所得国(スーダンなど)が含まれる。

調査ではまた、革新的な商品・サービスを提供する起業家の3人に1人は女性であることが判明した。世界で高成長を遂げる革新的な女性起業家が最も多いのは上位中所得国で、国際市場へのフォーカスについては男性と同水準に達していた。

女性が従業員のいない会社を起業する割合は、男性よりも多かった。従業員のいない会社は最も一般的な事業形態で、将来の雇用創出の足がかりとなる場合が多い。

女性起業家は、保育などの支援サービスがほぼ、あるいはまったく提供されない状態でも成功を収めている。報告書によると、女性の成功を支援する環境は大半の国で整備が進んでいない。また、女性は男性より保有資産が少ないため、自己出資金が少ない傾向にある。

起業したい、あるいは起業活動を始めたと答えた女性はここ数年で世界的に減少傾向にあるが、上位中所得国では女性起業家の数が2019年から21年の間に11%上昇。新型コロナウイルスの流行が世界を襲った2020年も減少していなかった。

報告書は、女性の起業家が世界中で直面する共通の大きな課題として資金不足を挙げた。

GEMのエグゼクティブディレクター、エイリーン・イオネスクサマーズによると、女性は投資家からの支援が少ない小売りやホスピタリティなどの分野を選びがちで、資金調達の機会が限られている1つの原因となっている。

起業し成長させた会社を売却する「イグジット」に成功する女性が増えれば、他の女性経営者の企業に投資するようになるだろう。報告書によると、新型コロナ流行中のイグジット率は、男性では3.5%から4.4%に、女性は2.9%から3.6%に上昇した。上位中所得国での女性のイグジットは74%増えた一方、男性は34%増だった。

報告書ではこの他、次のような動向が示されている。

・起業をしたいと答えた女性の割合は、高所得国では12.9%にとどまった一方、低所得国では3人に1人だった

・女性の起業率が最も高かったのはドミニカ共和国の44%近くで、男性の企業率(40.1%)を上回った

・女性の起業率が最も低かったのはポーランドの1.6%で、その次に低かったのはノルウェーの1.7%だった

・起業を希望する女性や起業活動を行なっている女性が最も少なかった地域は欧州だった

Forbes.com 原文

編集=遠藤宗生

ForbesBrandVoice

人気記事