Apple(アップル)のティム・クックCEOもアイガーと同様に、従業員はオフィスで働くべきだという考えの持ち主だ。
オフィス勤務は、イノベーションを起こしたり、共同作業に取り組んだりする上で必要不可欠だと断言している。アップルの従業員たちは、クックのそうした方針に抗議するべく、署名を集め、嘆願書を提出した。
企業トップは次々と、オフィス勤務の再開を呼びかけている。こうした状況のなかで行われた最新調査では「出勤も可能だが、勤務形態が柔軟でリモートワークが認められている企業」で働く労働者は、そうした折衷案が功を奏していると考えていることが明らかになった。
Slack(スラック)が働き方の未来に着目して立ち上げたコンソーシアム「フューチャー・フォーラム」の調査では、柔軟な勤務形態で働く従業員は、完全オフィス勤務の会社で働く従業員よりも「過去2年で企業文化が改善した」と回答する割合が57%高いという結果が出た。
そして、企業文化が改善した主な理由として「柔軟な勤務形態」が挙げられている。
とはいえ、ハイブリッドで柔軟な勤務形態が万能というわけではない。フューチャー・フォーラムの共同創設者でバイスプレジデントのシーラ・スブラマニアンは、うまくいっている企業は、コロナ禍以前の日常に戻らず、実験的な取り組みを行っているところだと指摘する。
「忘れられがちだが、この壮大な実験はまだ終わっていない。むしろ、実験の真っ只中にある」とスブラマニアンは述べる。「そして、『実験は終わった。誰もが以前の働き方に戻るときだ』と主張する人は、従業員たちから、かなりの反発や抵抗を受けている」
フューチャー・フォーラムは、2020年の立ち上げ当初から、世界中で働くフルタイム労働者1万人以上を対象に、四半期の動向を探る調査を実施している。今回の調査は、2022年11月16日から12月22日にかけて行われ、1万243人が回答した。
その結果「オフィス出勤の選択肢もあるハイブリッド勤務形態が望ましい」と回答した人は67%に上った。
ところが企業幹部のほうは、柔軟な勤務形態を導入することに関して大きな不安を覚えていると指摘するのはコンサルティング企業グローバル・ワークプレイス・アナリティクスのプレジデントであるケイト・リスターだ。不安の内容は、従業員エンゲージメントや企業文化、生産性、イノベーションといったものだ。